「勉強しなさい」を言わないと、子どもは本当に勉強しなくなるのでは。そう不安に感じている親御さんは少なくないと思います。
言うべきか。言わずに待つべきか。
分かっていても、つい口から出てしまう。
言ってしまったあとで後悔するのは、子どもとの関係を大切にしたいからだと思います。言わないことで何が変わるのかを、教室長として見てきたことからお伝えします。
この記事では、次の3つをお伝えします。
- 「勉強しなさい」と言わないと、子どもはどうなるのか
- 親の関わり方の4つのポイント
- 「勉強しなさい」の代わりにかけたい言葉
書いているのは、かつて個別指導塾の教室長として800人以上の子どもたちを指導し、家では2人の子どもの父親でもある志藤 学です。
結論:すぐには変わらなくても勉強を嫌がる気持ちは減っていく
先に結論からお伝えします。
「勉強しなさい」をやめても、子どもがすぐに机に向かうようになるわけではありません。それでも、勉強を嫌がる気持ちが少しずつ減っていくことがあります。
大切なのは、言わないぶん関わり方を変えることです。やらせるための言葉の代わりに、子どもの勉強に関心を向ける言葉をかける。そして、このあとご紹介する4つの関わり方で支える。この記事でお伝えしたいのは、そのことです。
「勉強しなさい」と言わないと子どもはどうなるのか
言うのをやめても、子どもがすぐに変わるわけではありません。それでも、言われるたびに強くなっていた勉強への反発がやわらぎ、親の側にもゆとりが生まれることがあります。
言うほど反感を買いやすい
教室長だったころ、面談の席で「勉強しなさい」は言わないほうがいい、とお伝えするとよく不安の声が返ってきました。言わなかったら、うちの子は勉強しないと思います、と。
そんなとき私は、言うほうがかえって反感を買ってしまうのではないでしょうか、とお話ししていました。すると、こんな返事をくださる親御さんが多くいました。
「確かにそうかもしれない…」
言われる回数が増えるほど、子どもにとって勉強は誰かに押しつけられた用事のように感じられていきます。
すぐには変わらない。でも嫌がる気持ちは減っていく
では、言うのをやめると、子どもはどうなるのでしょうか。
正直にお伝えすると、すぐに目に見える変化があるわけではありません。言うのをやめたご家庭でも、すぐに子どもが変わったわけではありませんでした。
けれど、勉強を嫌がる感じが少しずつ減ってくるように見えました。
まずほぐれるのは点数ではなく、勉強に向かう気持ちのほうなのだと思います。
最初に変わるのは親のほうかもしれない
教室長だったころ、あるお母さんからこんな言葉をいただいたことがあります。
「私も『勉強しなさい』って言わなくなって楽になったし、親子関係が良くなった気がします」
毎日同じことを言い続けるのは、言う側にとっても気持ちのすり減ることです。その言葉を手放すと、まず親の心に少しゆとりが生まれることがあります。親子の関係が変わり始めるのは、そこからなのかもしれません。
言わないのは放っておくことではない
ただ、言わないと決めることは、子どもから目を離すことではありません。
手放すのは、勉強をやらせるための言葉です。続けるのは、子どもへの関心です。
では、言わない代わりに、親は何をすればいいのでしょうか。ここからは4つの関わり方をご紹介します。
親の関わり方の4つのポイント
親の関わり方のポイントは、今を知る・成長を認める・本人の考えを聞く・必要なときに支えるの4つです。どこでつまずきやすいかは、親御さんによって違います。
教室で何人もの親御さんと接してきて、気づいたことがあります。成績が伸び始める子の親御さんには、共通するところがありました。
子どもの様子をよく見ている。点数が悪くても、すぐに子どもを否定しない。そして、今の成績をその子の限界だと考えない。
その姿勢を家でできる形にしたのが、次の4つの関わり方です。
ただ、4つのうちどこを難しく感じるかは、親御さんによって違いました。つまずきやすいところとあわせてお伝えします。
①今を知る:どこまで分かるかを一緒に確かめる
叱る前に、今の子どもにどこまで分かっているのかを一緒に見てみます。
ご自身が勉強に苦手意識のある親御さんは、ここから難しく感じることがあるようでした。でも、親が問題を解ける必要はありません。どこまでなら分かるのかを聞くだけでいいのです。
「どこまでなら分かりそう?」
②成長を認める:前の自分と比べる
点数やほかの子と比べるのではなく、前のその子と比べて、できるようになったことを認めます。
意外かもしれませんが、ご自身が勉強の得意な親御さんほどここを難しく感じるようでした。つい、もっとできるでしょ、と思ってしまうからです。
「前より早くなったね」
「ここ、もう一人でできるね」
認められた経験は、自分にもできる、という感覚につながっていきます。
③本人の考えを聞く:聞いたら最後まで聞く
何をするか、いつやるかを子どもに聞いて、子どもに決めてもらいます。
ここでは子どもの答えを聞いているうちに、ついつい怒ってしまう親御さんが多くいました。思っていた答えと違うと、口をはさみたくなるものです。でも、聞いたからには、最後まで聞く。それが、子どもが自分で考えるための土台になります。
「今日はどうする?」
「どうしたらいいと思う?」
④必要なときに支える:口を出す前に待つ
子どもが困っているときには、そっと手を貸します。
ここでは口出しが先になってしまう親御さんが多くいました。子どもが手を止めると、すぐに横から何か言いたくなるものです。助けを求めてくるまで、少し待ってみてください。
教科の中身を教えるのは、親の役目でなくてもかまいません。授業でつまずいたところは、学校や塾で聞けばいいのです。
「困ったら言ってね」
「勉強しなさい」の代わりの声かけ
「勉強しなさい」の代わりに、子どもの勉強に関心を向ける言葉や、子ども自身に考えてもらう言葉をかけてみてください。
「今日、どんなことを勉強したの?」
教室長だったころ、面談で親御さんに勧めていた言葉の一つがこれです。
勉強したかどうかを確かめるのではなく、子どもがどんなことを学んでいるのかに興味を持って話してみる。そうすると、勉強の話は確認ではなく、会話になります。
言いたくなったら子どもがどう感じるかを先に考える
教室で親御さんにお伝えしてきたことは、私が父親として家でしていることでもあります。「勉強しなさい」は言わないと決めていて、言いたくなったときは、その言葉で子どもがどう感じるかを言う前に考えます。そうすると、言わなくて済むようになります。
場面ごとの言い換えの例
たとえばこんな言い換えがあります。
- 帰ってきてすぐゲームを始めたとき:「勉強しなさい」→「今日は何時から始める?」
- 宿題が進んでいないとき:「早くやりなさい」→「どこで止まってる?」
- テストが返ってきたとき:「何点だったの?」→「どの問題が、手ごたえあった?」
- 分からないと言ったとき:「なんでできないの」→「どこまでは分かった?」
どれも子どもを動かすための言葉ではなく、子どもに考えてもらうための言葉です。
よくある疑問
言わないと勉強しなくなるのか、ごほうびはどうかなど、よく聞かれる5つの疑問にお答えします。
Q. 言わないと本当に勉強しなくなりませんか?
すぐに勉強し始めるとは限りません。それでも、言われ続けて勉強そのものを嫌がるようになるよりは、関心を向けられているほうが子どもは勉強に向かいやすいと私は考えています。言わないぶん、4つの関わり方で支えてあげてください。
Q. ごほうびで勉強させるのはよくないですか?
ごほうび自体は悪いものではありません。ただ、ごほうびだけに頼ると、うまくいかないと私は考えています。ごほうびを使うときも、4つの関わり方は続けてみてください。
Q. 中学生になっても言わないほうがいいですか?
中学生でも同じです。親の言葉に反発しやすい時期だからこそ、命令より、関心を向ける言葉や質問のほうが子どもに届きやすいと思います。
中学生の親御さんにも、教室では「勉強しなさい」や周りの子と比べる言葉を控えていただくようお願いしていました。
Q. つい言ってしまったらどうすればいいですか?
言ってしまう日があっても、自分を責めなくて大丈夫です。分かっていても言ってしまうのは、それだけ子どものことが気になっているからです。
次に言いたくなったときは、先ほどお伝えしたように、その言葉を聞いた子どもがどう感じるかを言う前に考えてみてください。
Q. 勉強する意味を聞かれたらどう答えればいいですか?
親がきちんとした答えを用意しなくても大丈夫です。「どう思う?」と聞き返して、一緒に考えてみてください。
勉強する理由は、人から渡されたものより、自分で見つけたもののほうが長く支えになります。
まとめ
- 言わないのは、放っておくことではない
- すぐには変わらなくても、勉強を嫌がる気持ちは減っていくことがある
- やらせる言葉の代わりに、関心を向ける言葉と4つの関わり方で支える
まずは「今日、どんなことを勉強したの?」と聞いてみてください。
ここに書いたほかの場面でも使えるように、「勉強しなさい」の代わりに使える声かけ集を、LINEでお届けしています。よければ、受け取ってみてください。
LINEで声かけ集を受け取る(準備中)
LINEでのお届けは、ただいま準備中です。
