「うちの子、最近勉強についていけてないみたい…」「授業でわからないことが増えている」そんな悩みを抱えている小学生の親御さんは決して少なくありません。
実際、小学校の担任の先生からも「授業中に集中できていない」「理解が追いついていない」といった指摘を受けて、不安になっている方も多いでしょう。
小学生のうちの学習の遅れは、中学・高校での学力に大きく影響します。しかし、適切な対処法を知り、早めに行動すれば必ず改善できます。
この記事では、小学生が勉強についていけなくなる7つの理由と、今すぐ実践できる11の解決策を詳しく解説します。お子さんの状況に合わせた対策を見つけて、勉強を楽しめるようサポートしていきましょう。
小学生が勉強についていけない7つの主な理由
まずは、なぜ小学生が勉強についていけなくなってしまうのか、その原因を詳しく見ていきましょう。
原因を正しく理解することで、適切な対処法も見えてきます。
集中力の問題
小学生の脳は発達途中のため、大人と比べて集中できる時間が短いのが特徴です。
- 小学1年生:15分程度
- 小学2年生:20分程度
- 小学3年生:25分程度
- 小学4年生:30分程度
- 小学5・6年生:35~40分程度
学校の授業は45分ですが、これは小学生にとっては長い時間です。途中で集中力が切れてしまい、重要な説明を聞き逃すことも少なくありません。
また、黒板を書き写すことに意識を取られ、先生の話を理解できないケースもよく見られます。
学習方法がわからない
小学校では鉛筆の持ち方やノートの取り方は指導されますが、「効果的な勉強方法」については十分に教えられないことがあります。
そのため、以下のような場面でつまずきやすくなります。
- 宿題をどの順序で進めればよいかわからない
- わからない問題に出会ったときの対処法がない
- 間違えた問題をどう復習すればよいかわからない
- 計画的に学習を進める方法を知らない
- 効果的なノートの取り方ができない
こうした学習スキルが不足すると、努力しているのに成果が出ず、勉強への意欲を失ってしまいます。
勉強への苦手意識・マイナスイメージ
最初から勉強が嫌いな子どもはいません。勉強嫌いになるのは、勉強で嫌な体験をしたことがきっかけです。
例えば、以下のような経験がマイナスイメージを生みます。
- 「なんでこんな点数なの!」と結果だけで叱られる
- 他の子と比較される
- 頑張っても認めてもらえない
- 「早く勉強しなさい!」と急かされる
- わからない問題で恥ずかしい思いをする
一度ネガティブな感情を持ってしまうと、勉強を避けるようになり、さらに遅れが広がる悪循環に陥ります。
基礎の理解不足
特に算数は積み重ねが重要な教科です。一つの単元を十分に理解できないまま次に進むと、関連する内容でつまずいてしまいます。
算数でつまずきやすい単元の例
- 1・2年生:繰り上がり・繰り下がりの計算
- 3・4年生:割り算、分数、小数
- 5・6年生:分数の計算、比例・反比例
これらの基礎が不安定だと、中学数学にも大きく影響します。「わからない」をそのままにせず、しっかり理解を固めることが大切です。
語彙力・理解力の不足
授業で使われる言葉の意味がわからないと、説明を聞いても理解できません。語彙力は学習全般に直結する重要な力です。
語彙力不足の主な原因
- 日常的な親子の会話が少ない
- 本を読む習慣がない
- テレビやゲーム中心の生活
- 具体的な体験が不足している
言葉の理解不足は、国語だけでなくすべての教科の学習に影響します。
学習習慣の未定着
家庭学習の習慣がないと、学校で習った内容を定着させることが難しくなります。
また、自分から勉強に取り組む自主性が育っていないと、学習が継続できません。
学習習慣が身につかない要因
- 決まった勉強時間がない
- 勉強する環境が整っていない
- 親のサポートが不足している
- 勉強の成果を実感できない
- 習い事やゲームが優先されてしまう
発達特性による影響
発達障害や学習障害がある場合、通常の授業についていくことが難しいこともあります。
主な発達特性と学習への影響
- ADHD:注意力散漫や多動性により集中が難しい
- 学習障害(LD):読み・書き・計算の特定分野で困難がある
- 自閉症スペクトラム:コミュニケーションや感覚過敏による学習阻害
これらの特性がある場合には、専門的なサポートや個別の配慮が必要になります。
【学年別】勉強についていけなくなる子の特徴
学年によって、小学生が勉強についていけなくなる特徴や対処法は異なります。お子さんの学年に合わせて理解しておきましょう。
小学1・2年生の特徴
小学1・2年生はまだ生活の中心が「遊び」であり、学習への意識が高くありません。
勉強についていけない子も少なくなく、その多くは基礎的な読み書きや計算につまずいたり、学習習慣がまだ身についていないことが原因です。
- まだ遊びたい盛りで、勉強への意識が低い
- 基礎的な読み書きや計算でつまずきやすい
- 学習習慣がまだ身についていない
- 親のサポートに強く依存している
重要なポイント: 無理に勉強を強制するのではなく、楽しく学べる環境づくりを優先しましょう。この時期に「勉強嫌い」にならないよう注意が必要です。
小学3・4年生の特徴
小学3・4年生になると、勉強内容が一気に難しくなります。基礎から応用へと移行し、算数では割り算や分数、理科や社会も本格的に始まります。
この段階で勉強についていけないと、高学年以降に大きな影響を及ぼす可能性があります。
- 基礎学習から応用学習への転換期に入る
- 算数で割り算や分数といった難しい概念が登場
- 理科や社会の学習が本格化する
- 学力の個人差がよりはっきりしてくる
重要なポイント: 小学3・4年生が勉強についていけない原因を放置すると、高学年や中学校で大きく影響します。基礎をしっかり固めることが大切です。
小学5・6年生の特徴
小学5・6年生は中学進学を意識する大切な時期です。抽象的な思考力が必要になるうえ、学習量も大きく増えます。
中学受験を控える家庭もあり、勉強についていけない子との差が広がりやすくなるのも特徴です。
- 中学進学を見据えた学習内容に入る
- 抽象的な思考力が求められるようになる
- 学習量が一気に増加する
- 中学受験を考える家庭も増える
重要なポイント: この時期は自主的な学習姿勢を育てることが不可欠です。中学校での学習に備え、考える力を養うことが重要になります。
今すぐできる解決策11選
ここからは、小学生が勉強についていけない問題を解決するための具体的な方法をご紹介します。
お子さんの状況に合わせて、できることから始めてみてください。
原因の特定と子どもとの対話
勉強についていけない小学生に対して、最初に大切なのは「なぜそう感じているのか」を把握することです。そのためには、子どもと丁寧に対話することから始めましょう。
効果的な聞き方
- 「勉強で困っていることはある?」
- 「授業でわからないことはどんなこと?」
- 「どの教科が一番難しい?」
- 「先生の説明はわかりやすい?」
責めるのではなく、気持ちに寄り添って聞くことが大切です。原因がわかれば、適切な対処法も見えてきます。
学習習慣の確立
勉強についていけない理由の一つに「学習習慣の欠如」があります。毎日の家庭学習を習慣化することで、授業内容を定着させ、遅れを取り戻すことができます。
学習習慣をつけるコツ
- 時間を固定する:毎日同じ時間に勉強する
- 短時間から始める:最初は15~20分程度から
- 勉強する場所を決める:リビングのテーブルなど
- 親も一緒に過ごす:見守り、励ましの声かけ
- 継続を褒める:結果よりも取り組み姿勢を評価
一般的に習慣化には約3週間かかると言われています。最初は大変ですが、継続することで必ず身につきます。
親の関わり方の改善
小学生が勉強についていけないとき、親の関わり方次第で子どもの意欲は大きく変わります。サポートの姿勢を工夫しましょう。
効果的な関わり方
- 見守る姿勢:常に監視するのではなく、必要なときにサポート
- プロセスを褒める:「頑張っているね」「集中できているね」
- 一緒に学ぶ:わからない問題を一緒に考える
- 環境を整える:静かで勉強しやすい環境づくり
避けるべき関わり方
- 「なんでできないの?」といった否定的な言葉
- 他の子との比較
- 結果だけを重視した叱責
- 勉強の強要
褒めて自己肯定感を高める
自己肯定感の低さは「勉強についていけない」と感じる大きな要因です。小さな成長を認めてあげることで、前向きな気持ちを育てましょう。
効果的な褒め方
- 具体的に褒める:「字がきれいに書けているね」
- 努力を褒める:「最後まで諦めずにできたね」
- 成長を褒める:「前より計算が早くなったね」
- 即座に褒める:良い行動をその場で認める
適切な学習環境の整備
勉強についていけない小学生の多くは、集中できる環境が整っていません。学習環境を改善することで効果は大きく変わります。
理想的な学習環境
- リビング学習:親の目が届く場所で安心感を得られる
- 整理整頓:机の上は勉強道具だけにする
- 適切な照明:目が疲れない明るさを確保
- 静かな環境:テレビやゲームは消す
- 必要な道具:辞書、参考書などをすぐ使えるようにする
基礎からの学び直し
勉強についていけない場合、多くは基礎の理解不足が原因です。特に算数は積み重ねが重要なので、基礎に戻って学び直すことが欠かせません。
学び直しの手順
- つまずき箇所の特定:どこからわからなくなったかを確認
- 基礎に戻る:わかるところまで戻って復習
- スモールステップ:少しずつ段階的に進める
- 反復練習:理解できるまで繰り返し練習
- 確認テスト:定着度をチェックする
学習ツールの活用
現代は多彩な学習ツールがあります。勉強についていけない子どもでも、興味に合わせて活用することで理解が深まりやすくなります。
おすすめ学習ツール
- 教育系YouTube:視覚的でわかりやすい解説動画
- 学習アプリ:ゲーム感覚で楽しく学べる
- オンライン教材:個別進度で学習できる
- 教育番組:NHKの教育番組など
- 知育玩具:遊びながら学べる教材
ただし、これらは基本的な学習習慣を補う位置づけで使いましょう。
親子のコミュニケーション強化
日常的な会話の積み重ねは語彙力を育て、勉強についていけない状況を防ぐ大切な要素です。
効果的なコミュニケーション
- 読み聞かせ:毎日本を読んであげる
- 日常会話:学校での出来事を詳しく聞く
- 一緒に読書:親子で同じ本を読んで感想を話し合う
- 言葉遊び:しりとりやなぞなぞなど
- 体験の共有:一緒に体験したことを言葉で表現する
担任の先生との連携
家庭だけで勉強についていけない問題を解決するのは難しいため、学校との連携も欠かせません。
担任の先生は日常の様子を把握している大切なパートナーです。
先生との効果的な連携方法
- 定期的な面談:授業中の様子や理解度を確認
- 家庭での様子を報告:勉強への取り組み方を共有
- 具体的な相談:困っていることを具体的に伝える
- 連絡帳の活用:日々の小さな変化も共有
- 宿題の相談:適切な量や内容について話し合う
個別指導塾の活用
家庭のサポートに限界を感じたら、個別指導塾を活用しましょう。勉強についていけない子どもに合わせた丁寧な指導が期待できます。
個別指導塾のメリット
- 個人のペースに合わせた指導
- つまずき箇所の重点的な補習
- 学習方法の指導
- 勉強への動機づけ
- 保護者へのアドバイス
塾選びのポイント
- 補習に特化している塾を選ぶ
- 子どもとの相性を重視する
- 家庭との連携を大切にする塾
- 無理のない通塾距離・時間
専門機関への相談
勉強についていけない背景に発達特性や学習障害がある場合は、専門機関への相談が必要です。早期の支援が将来の学習を支えます。
相談できる機関
- 教育相談センター:各自治体にある教育相談窓口
- 児童発達支援センター:発達に関する専門的な相談
- 小児科:発達に詳しい医師による診断
- スクールカウンセラー:学校にいる心理の専門家
- 特別支援学級:個別の配慮が受けられる教育環境
早めに専門機関とつながることで、子どもに合った適切なサポートを受けられます。
やってはいけない3つのNG行動
小学生が勉強についていけないとき、良かれと思ってやっている行動が逆効果になることがあります。
以下のNG行動は避けるようにしましょう。
強制的に勉強を押し付ける
「勉強させなきゃ」と思うあまり、親が強制的に勉強を押し付けてしまうケースは少なくありません。しかし、このやり方は逆効果になりやすいのです。
NG例
- 「宿題が終わるまで遊んではダメ」
- 「勉強しないならゲーム禁止」
- 長時間机に向かわせる
なぜダメか: 勉強に対するマイナスイメージが強くなり、自主的な学習意欲を奪ってしまいます。
他の子との比較
つい「周りの子と比べてどうか」が気になってしまうことがありますが、比較は子どもにとって大きなストレスとなります。
NG例
- 「○○ちゃんはできているのに」
- 「クラスで一番下だった」
- 兄弟姉妹との比較
なぜダメか: 自己肯定感が下がり、劣等感を抱いてしまいます。その結果「どうせ自分はできない」と勉強についていけない悪循環に陥ることもあります。
結果だけを重視した叱責
テストの点数や順位など、結果だけを重視して叱ってしまうのもNG行動です。努力の過程を見てあげることが大切です。
NG例
- 「なんでこんな点数なの?」
- 「もっと勉強しなさい」
- 努力を認めずに結果だけで判断
なぜダメか: プロセスよりも結果ばかりを重視されると、子どもは失敗を恐れて挑戦しなくなります。これでは学習意欲が低下し、さらに勉強についていけなくなる可能性があります。
学年別おすすめ勉強法
小学生が勉強についていけない原因や解決法は、学年によって大きく異なります。
例えば、低学年は学習習慣の定着、中学年は基礎から応用への橋渡し、高学年は自主学習の確立が課題といったように学年に応じた対策が必要です。
ここでは、学年ごとの特徴に合わせたおすすめの勉強法をまとめました。お子さんの状況に合わせて取り入れてみましょう。
低学年(1・2年生):遊び要素を取り入れた学習
小学1・2年生はまだ集中力が長続きしにくく、遊びと学びのバランスが大切です。
勉強についていけないと感じさせないためにも、楽しさを取り入れながら基礎を身につけることがポイントです。
おすすめの方法
- ゲーム感覚の学習:計算カードやひらがなカルタ
- 体を使った学習:歌いながら九九を覚える
- 短時間集中:15~20分の学習を数回に分ける
- 親子一緒:一緒に宿題に取り組む
- 褒めて伸ばす:小さな成功をたくさん褒める
中学年(3・4年生):基礎固めと応用への橋渡し
小学3・4年生は学習内容が一気に難しくなる時期です。基礎を確実に固めつつ、応用へつなげる学習を意識しましょう。
勉強についていけない子が増えやすいのもこの時期です。
おすすめの方法
- 基礎の徹底:計算力と漢字の確実な習得
- 予習・復習:授業の前後で内容を確認
- 辞書の活用:わからない言葉を自分で調べる習慣
- ノート作り:きれいで見やすいノートの作り方を指導
- 段階的な自立:少しずつ一人で勉強する時間を増やす
高学年(5・6年生):自主学習の習慣化
小学5・6年生は、中学校を意識した学習が必要になる時期です。自主的に学習する習慣をつけ、考える力や表現力を伸ばしていきましょう。
ここで自立した学習スタイルを確立できるかどうかが、中学以降の勉強についていけるかどうかに直結します。
おすすめの方法
- 計画的な学習:週間・月間の学習計画を立てる
- 自主学習:自分で課題を見つけて取り組む
- 考える力:なぜそうなるかを考える習慣
- 発表・説明:学んだことを人に説明する
- 中学準備:中学校での学習を見据えた基礎固め
よくある質問(FAQ)
小学生が勉強についていけないとき、多くの保護者が同じような疑問や不安を抱えています。
ここでは特によく寄せられる質問と、その解決のヒントをまとめました。参考にしていただき、お子さんの学習サポートに役立ててください。
いつから塾に通わせるべきですか?
家庭でのサポートに限界を感じたときが目安です。一般的には小学3年生頃から検討する方が多いですが、子どもの状況によります。
まずは家庭学習の習慣づけから始めることをおすすめします。
発達障害の可能性はどう判断すればよいですか?
以下のような特徴が複数見られ、日常生活に支障がある場合は専門機関への相談を検討してください。
- 極端に集中できない(5分も持たない)
- 文字の読み書きが著しく困難
- 簡単な計算ができない
- コミュニケーションが一方的
- 感覚過敏がある
中学受験への影響はありますか?
小学生の基礎学力は中学受験の土台となります。まずは基礎をしっかり固めることが重要です。
受験を考えている場合でも、無理に先取りするより、確実な理解を優先しましょう。
どのくらいで改善が見られますか?
個人差がありますが、適切な対策を継続すれば、以下のような目安で改善が期待できます。
- 学習習慣:3週間〜1ヶ月で定着
- 基礎学力:3〜6ヶ月で向上
- 勉強への意欲:1〜3ヶ月で変化が見える
- 成績向上:半年〜1年で結果に表れる
親が勉強を教えられない場合はどうすればよいですか?
親がすべて教える必要はありません。以下のような方法があります。
- 一緒に調べる姿勢を見せる
- 学習環境を整える
- 励ましやほめ言葉をかける
- 必要に応じて塾や家庭教師を活用
- 先生に相談する
まとめ
小学生が勉強についていけない理由は様々ですが、早期に原因を把握し、適切な対策を取れば改善できます。
この記事でご紹介したポイントを振り返りながら、家庭でできることから始めてみましょう。
重要なポイントを再確認
- 原因の特定: まずは子どもの話をしっかり聞く
- 基礎の重視: 無理に先に進まず、わかるところから始める
- 習慣化: 毎日の家庭学習を定着させる
- 褒めて伸ばす: 自己肯定感を高める関わり方
- 環境整備: 集中できる学習環境をつくる
- 外部との連携: 学校や専門機関と協力する
最も大切なのは、お子さんが「勉強って楽しい」「わかると嬉しい」と感じられるようにサポートすることです。
結果を急がず、お子さんのペースに合わせて継続的に取り組むことが成功のカギとなります。
小学生のうちに学習の土台を築けば、中学・高校での学習もスムーズになります。一人で悩まず、必要に応じて学校の先生や専門機関に相談しながら、温かく成長を見守っていきましょう。
今日からできる第一歩は、お子さんとの対話です。ぜひ「勉強で困っていることはある?」と優しく聞いてみてください。
この記事が、お子さんの学習サポートの参考になれば幸いです。継続的な取り組みで、必ずお子さんの「できた!」という笑顔に出会えるはずです。