チェリーセージは「種類」と一口に言っても、土台となる3つの原種から、花色や姿の異なる数多くの園芸品種まで幅広く揃っています。中でもホットリップスは赤と白のコントラストが美しく、自宅で育ててみたいという方が多い人気品種です。
この記事では、まず「チェリーセージとは何か(3つの原種の違い)」を整理したうえで、ホットリップスをはじめとする代表的な園芸品種を花色・草丈・特徴の一覧で詳しくご紹介します。さらに「どの種類を選べばいいか」の選び方や、育て方・剪定のポイントまでまとめてお伝えします。
チェリーセージとは|3つの原種の総称
チェリーセージは正式な種名ではなく、シソ科アキギリ属(サルビア属)に属する以下の3種と、その園芸品種をまとめて呼ぶ流通名(英名)です。
| 原種 | 特徴 |
| サルビア・ミクロフィラ (S. microphylla) |
日本でチェリーセージといえば本種を指すことが多い代表種。葉の縁に明瞭な鋸歯(ギザギザ)があり、葉が小さめなのが特徴。花色は赤が基本だが、ピンク・白・黄など園芸品種が豊富。 |
| サルビア・グレッギー (S. greggii) |
ミクロフィラに似るが、花冠の基部にある小さな突起物がない点で区別される。葉はミクロフィラよりやや大きめ。比較的寒さに強い。オータムセージとも呼ばれる。 |
| サルビア・ヤメンシス (S. × jamensis) |
グレッギーとミクロフィラの自然交配種。両者の中間的な性質で花色が非常に豊富。中間色を含めると30品種ほどあるとされる。 |
開花期は5月~11月と非常に長く、分枝した茎の先や葉の脇から、唇形(しんけい)の花を穂状に咲かせます。花色は赤を基本に、ピンク・白・紫・黄など多彩です。葉を軽く揉むとサクランボのような甘い香りがすることが、「チェリーセージ」という名の由来とされています。
いずれもメキシコやアメリカ南部の標高1500m~3000mほどの高地で見つかった植物で、標高によって分布する種が変わります(低い場所からグレッギー、ミクロフィラ、交配種のヤメンシスへと移り変わるとされます)。耐寒性に多少の違いはありますが、育て方に大きな差はないため、家庭園芸で種を厳密に区別する必要はあまりありません。
ミクロフィラとグレッギーの見分け方
3種は外見がよく似ており、さらに交配種や園芸品種が多いため、素人目に正確に見分けるのは難しいのが実情です。植物学的には、ミクロフィラは花冠(花の筒)の基部内側に一対の小さな突起があり、葉の縁に明瞭な鋸歯があること、グレッギーはその突起がないことで区別されます。ただし家庭で楽しむ分には、これらは無理に判別しなくても問題ありません。
チェリーセージの人気品種一覧|花色・草丈・特徴
ここからは、実際に流通している代表的な園芸品種を、所属する原種・花色・草丈・特徴とともにご紹介します。気になる品種を選ぶ際の参考にしてみてください。
| 品種名 | 系統 | 花色 | 特徴 |
| ホットリップス | ミクロフィラ | 赤×白の2色 | 最も流通量が多く店頭でもよく見かける2色咲きの改良品種。気温が高いと赤の面積が増え、低くなると白の面積が増えるなど色が変化する。「イチゴミルク」の名で流通することもある。 |
| ピンクブラッシュ | ミクロフィラ | 濃い桃色(単色) | 蛍光色のように鮮やかで派手な濃いピンクの単色花。カラフルなカラーガーデンや可愛らしい雰囲気の庭づくりにおすすめ。草丈は50~100cmほど。 |
| ホワイト(パールホワイト) | ミクロフィラ | 白 | 清楚な白花の品種。蕾は淡いクリーム色だが開花すると白に近い色になる。紅白で寄せ植えにすると映える。 |
| イエロー | ミクロフィラ | 白に近い淡黄色 | ガクが明るいライムグリーン、花びらが白に近いイエローで、爽やかで優しい印象。草丈は50~80cmほど。 |
| サーモンピンク (シエラサンアントニオ) |
グレッギー | サーモンピンク×クリーム | サーモンピンクとクリーム色の2色咲きで、下唇の裂片がクリーム色。やわらかく愛らしい雰囲気。草丈は50~75cmほど。 |
| ダンシング・ドール | ヤメンシス | 桃色×くすんだ白の2色 | 花付きがとても良く、鮮やかな桃色とくすんだ白の2色が上品で優しい雰囲気。ロマンチックな庭づくりにおすすめ。 |
| ナイトモス | ヤメンシス | 深い紫 | ビロードのような深い紫色の花が特徴で、ミステリアスでお洒落な雰囲気。1株を覆うほど咲くわけではないが花期が長い。草丈は約80cm。 |
| マーブルベリー | ミクロフィラ系 | 赤×白のマーブル | 赤と白がマーブル状に混じる愛らしい花色。ホットリップスとはまた違った、不規則な色の出方が楽しめる。 |
| 斑入り品種 (ホットリップス斑入り等) |
ミクロフィラ系 | 品種による | 葉に白などの斑が入る品種。花がない時期もカラーリーフとして庭に彩りを添える。斑のない緑葉の枝が出たら早めに切り取ると斑が維持しやすい。 |
ホットリップスの花を見ると、本当にイチゴミルクを連想しますね。なお、チェリーセージは毎年のように新品種が作出されており、上記以外にもサーモン系・クリーム系・赤紫系など多彩な花色の品種が流通しています。
青い花・紫の花が咲く品種はある?
チェリーセージで紫系といえば、前述のヤメンシス系「ナイトモス」が深い紫色の花を咲かせる代表品種です。
なお、「ミスティックスパイアーズブルー」や「インディゴスパイアーズ」など青系のサルビアも流通していますが、これらはミクロフィラ・グレッギー・ヤメンシス系とは別系統のサルビア(ラベンダーセージなどと呼ばれる種類)で、厳密にはチェリーセージとは異なります。チェリーセージの仲間で「青」と呼べるほど青い花を咲かせる品種は基本的になく、紫系のナイトモスがそれに近い存在と考えるとよいでしょう。
チェリーセージの種類の選び方
品種が多くて迷うときは、次のような軸で選ぶと決めやすくなります。
- 人気・定番で選ぶなら……赤×白の2色が美しい「ホットリップス」。入手しやすく初心者にも育てやすい定番品種です。
- 花色で選ぶなら……明るく華やかにしたいなら「ピンクブラッシュ」、清楚にまとめたいなら「ホワイト」、シックで大人っぽくしたいなら「ナイトモス」がおすすめです。
- カラーリーフも楽しみたいなら……葉に斑が入る斑入り品種なら、花のない時期も庭に彩りを添えてくれます。
- コンパクトに育てたいなら……草丈の上限がやや低めの品種(サーモンピンク系など)を選ぶと管理しやすくなります。ただしいずれの品種も剪定で大きさを調整できます。
どの品種も丈夫で花期が長いという点は共通しているので、まずは見た目の好みで選んで問題ありません。
チェリーセージ(全品種共通)の育て方のポイント
チェリーセージは品種が違っても育て方に大きな差はありません。ここでは全品種に共通する基本の育て方を簡潔にまとめます。
置き場所・環境
日当たりと風通しの良い場所に植えましょう。明るめの半日陰でも育ちますが、日照不足になると花付きが悪くなり、香りも弱まります。暑さには強いものの、真夏は花が休むことがあるため、直射日光が強すぎる場所では午後に日陰になるよう工夫すると安心です。数年で大株になり、品種によっては丈・幅とも1m以上になるので、株間は余裕をもって植え付けます。
用土
水はけの良い土を好みます。市販のハーブ用・草花用培養土をそのまま使うか、小粒の赤玉土6割+腐葉土4割を混ぜ、パーライトや川砂で水はけを高めると良いでしょう。酸性土が苦手なので、苦土石灰などで中性~ややアルカリ性に調整します。肥料分が多すぎると花付きが悪くなるため、肥沃すぎる土は避けます。
水やり・肥料
根付くまでは毎日水やりをします。根付いた後、鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷりと、地植えは基本的に不要(真夏の乾燥時のみ朝夕に)与えます。肥料は少なめでよく、鉢植えは春と秋に緩効性肥料を施す程度で十分です。
剪定・切り戻し
生育旺盛で放任すると枝が伸びすぎ、花付きも悪くなります。真夏と冬以外なら、伸びすぎたらいつでも切り詰められます。花が終わった後に花穂の下の2~3節目で切ると、再び花芽をつけます。夏前に株の高さの半分ほどに切り戻すと、秋にすっきりした姿で咲き直します。2年目以降は株元が木質化してくるので、定期的な切り戻しと、たまの強剪定で若い枝を出すと姿良く保てます。
冬越し
耐寒性は品種によって多少異なりますが、目安は最低気温-5℃前後です。関東南部以西なら地植えでも冬越しできますが、それより寒い地域では鉢植えにして室内に取り込むと安心です。地植えのまま冬越しする場合は、冬前に切り戻し、株元に腐葉土や落ち葉を敷いて保温すると良いでしょう。
チェリーセージの増やし方
チェリーセージは「挿し木」と「こぼれ種」で増やせます。
挿し木は5~7月が適期で、今年伸びた元気な新芽を10~15cmほど切り取って挿し穂にします。先端の葉を2~3枚残して他を落とし、切り口を20~30分ほど水に浸けてから発根促進剤をつけ、赤玉土(小粒)やバーミキュライトに挿します。土が乾かないよう水やりをして日陰で管理すると、1~2週間ほどで発根します。失敗の主な原因は水分不足なので、水揚げとその後の水やりを欠かさないことがコツです。
また、花後にできた種が自然にこぼれて翌春に発芽することもあります。ただし、こぼれ種で増えた株は交雑・変異により親と同じ品種になるとは限らず、放っておくと意図しない場所に広がるため、適度に間引いたり移植したりすることをおすすめします。
チェリーセージの種類に関するQ&A
チェリーセージは多年草?宿根草?
チェリーセージはシソ科の多年草で、宿根草として扱われることが多い植物です。冬に地上部が枯れることがありますが、根は生きているので春になればまた芽吹きます。ただし何年もすると木質化や株姿の乱れが出るため、適切な剪定や植え替えで若返らせることで、長く楽しめます。
初心者におすすめの種類は?
入手しやすく丈夫な「ホットリップス」が定番でおすすめです。寒さに弱いので、初めて種から育てる場合は春まき(4~5月)のほうが育てやすいでしょう。
食用にできる種類はある?
チェリーセージは観賞用と食用の両方に使えるハーブで、花はエディブルフラワーとしてサラダなどに、葉はハーブティーなどに利用できます。ただし食用にする場合は、生産過程で使う薬剤が異なることがあるため、必ず「食用可能」と確認できたものを購入してください。
まとめ:チェリーセージの種類と選び方
チェリーセージは、ミクロフィラ・グレッギー・ヤメンシスの3原種を土台に、ホットリップスをはじめとする多彩な園芸品種が楽しめる、花色の豊富なハーブです。
- 正式な種名ではなく、3つの原種と園芸品種の総称
- 定番は赤×白の「ホットリップス」、紫系なら「ナイトモス」
- 品種が違っても育て方に大きな差はなく、いずれも丈夫で花期が長い
- 日当たり・水はけの良い場所で、剪定をしながら育てるのがコツ
見た目の好みで気になる品種を選んで、ぜひ栽培に挑戦してみてくださいね。