メドーセージは、日本では「サルビア・ガラニチカ」の名でも流通するシソ科の多年草(宿根草)です。
夏から秋にかけて、濃い青紫色の花を長い花穂にたくさん咲かせます。鮮やかな花色と、風に揺れる涼しげな姿が魅力です。
非常に丈夫で育てやすい一方、地下茎で旺盛に増えるため、地植えでは広がりすぎに注意が必要です。
この記事では、メドーセージの基本的な育て方や季節ごとのお手入れ、冬越しの注意点、株分け・挿し木での増やし方までまとめて解説します。
メドーセージとは|基本情報
メドーセージは、シソ科アキギリ属(サルビア属)の宿根多年草です。学名はSalvia guaranitica(サルビア・ガラニチカ)で、ブラジル・アルゼンチン・パラグアイ・ウルグアイなど南米が原産です。「ガラニチカ」の名は、原産地のひとつパラグアイの先住民族グアラニ族に由来します。
初夏から晩秋にかけて、黒っぽいガクに包まれた濃い青紫色の唇形花を、花穂に縦に連ねて咲かせます。地下茎で旺盛に広がる、とても丈夫な植物です。
| 分類 | シソ科アキギリ属(サルビア属) |
|---|---|
| 学名 | Salvia guaranitica |
| 流通名・別名 | メドーセージ、サルビア・ガラニチカ、ブルーアニスセージ |
| 原産地 | 南米(ブラジル・アルゼンチン・パラグアイ・ウルグアイ) |
| 性質 | 多年草(宿根草/原産地では常緑亜低木) |
| 草丈 | 約50cm~1.5m |
| 開花期 | 6月~10月(11月)ごろ |
| 花色 | 濃い青~青紫(ガクは黒っぽい) |
| 耐寒性/耐暑性 | ともに強い(耐寒性は-10℃程度) |
| 用途 | 観賞(花壇・寄せ植え)、ポプリなどの芳香用途 |
なお、「メドーセージ」という名前には少し混乱があります。本来メドーセージ(Meadow Sage)は別種のサルビア・プラテンシス(Salvia pratensis)を指す英名ですが、日本にサルビア・ガラニチカが輸入され始めた頃に流通業者が誤って「メドーセージ」と名付け、それが定着したと言われています。そのため、日本で「メドーセージ」として流通しているものは、ほとんどがサルビア・ガラニチカです。
メドーセージ栽培に適した環境づくり
メドーセージは、日当たりと風通しのよい場所を好みます。半日陰でも育ちますが、生育や花付きは日当たりのよい場所のほうが優れるので、美しい花を楽しむにはよく日の当たる場所がおすすめです。
用土づくり
水はけのよい土が適しています。痩せ地でも育ちますが、栄養が少なすぎると花付きが悪くなります。
庭植えは、腐葉土や堆肥を混ぜ込んで改良します。鉢植えは、市販の草花用培養土やハーブ用培養土、または赤玉土と腐葉土を混ぜたものを使うとよいでしょう。
水やり
乾燥気味に管理するのがポイントです。水切れには強い一方、過湿に弱いので、与えすぎに注意します。
土の表面が乾いたら与える程度にし、鉢植えは鉢底から水が出るくらいたっぷり与えます。冬は生育が止まるので、水やりは控えめにします。
肥料
肥料は春から秋の生育期に施します。多くは必要としませんが、花付きをよくするため適度に与えます。
庭植えは、春に元肥として緩効性化成肥料や有機質肥料を施します。鉢植えは、生育期に月1~2回の液体肥料か、緩効性化成肥料を定期的に補います。
種まきの時期と方法
種まきの適期は、春の3~4月、秋の9~10月です。発芽適温は20℃前後なので、その気温になった頃にまきます。
- 育苗ポットや容器を用意し、底に水はけ用の穴を開ける
- バーミキュライトや赤玉土など軽くて水はけのよい土を入れる
- 種を1か所に3~4粒、重ならないようにまく
- 薄く土をかぶせ、霧吹きで水を与える
- 乾かさないよう水やりを続ける
- 直射日光を避け、日当たりと風通しのよい場所に置く
- 1~2週間で発芽したら、本葉が2~3枚になるまで育てる
- 間引いて1か所に1本残す
間引いた苗は別のポットに植え替えても構いません。苗が大きくなったら地植えや鉢植えに移植します。
地植え(植え付け)の時期と方法
地植えの適期は春から初夏です。この時期に植え付けると、暑さにも寒さにも強い株に育ちます。
繁殖力が旺盛なので、他の草花とは十分に間隔をとって植え付けましょう。地下茎の広がりを抑えるには、仕切りなどを使うのも有効です。
- 土をほぐして水はけをよくする
- 腐葉土や堆肥を混ぜ込む
- 根を傷めないようポット苗を取り出す
- 根が張りすぎていれば優しくほぐす
- 穴を掘り、苗を植え付ける
- 根元が土面と同じ高さになるよう調整する
- 土を戻し、空気が入らないよう軽く固める
深植えは根腐れの原因になるので、植え付けの高さに注意しましょう。
鉢植え・プランターで育てる方法
メドーセージは鉢植え・プランターでも楽しめます。繁殖力が強いので、根が十分に広がれる大きめの容器を選びましょう。小さすぎると根詰まりしやすくなります。
- 鉢底ネットや鉢底石を敷いて水はけをよくする
- 市販のハーブ用・草花用培養土を用意する
- 水はけが悪い場合は砂やパーライトを混ぜる
- 根を傷めないようポット苗を取り出す
- 根が張りすぎていれば優しくほぐす
- 鉢に土を入れ、苗を植え付ける
- 根元が土面と同じ高さになるよう調整する
- 土を戻し、軽く固める
- 鉢底から水が出るくらいたっぷり水やりをする
植え替えの時期と方法
メドーセージは地下茎でどんどん増えるので、密集しすぎないよう定期的に植え替えます。
負担の大きい真夏と、休眠期の冬は避け、春か秋の暖かい日に行います。
鉢植えは、根が鉢底から出ているなど根詰まりしていたら、ひと回り大きい鉢に植え替えます。地植えは株分けで整理します(株元から10~15cmほど離れた位置でスコップなどで切り離し、別の場所へ移植)。
- 古い土や枯れた根を取り除く
- 新しい鉢や場所に土を入れ、株を植え付ける
その後の管理は、地植え・鉢植えの方法と同じです。
室内での育て方
室内では、南向きや西向きの明るい窓辺に置くのがおすすめです。
暑さ・寒さに強い植物ですが、冬に室内で管理する場合も、霜に当てないようにすると冬越しがしやすくなります。
乾燥気味を好むので、水やりは控えめに。鉢植えは表土が乾いたら鉢底から水が出るくらい与えます。冬は数日おきにし、葉や茎に水がかからないよう株元に与えます。
痩せ地でも育つので、植え付け時に緩効性肥料を入れておけば追肥はほぼ不要です。肥料の与えすぎは肥料焼けの原因になるので注意しましょう。室内でも、適度な切り戻しや植え替えで美しい姿を保てます。
メドーセージの花が咲く時期と香り・花言葉
メドーセージは6月から10月ごろまで、濃い青~青紫の花を長く咲かせます。花はシソ科特有の唇形で、茎に縦に連なって咲き、ガクが黒っぽいのが特徴です。
花自体に強い香りはありませんが、葉にはアニスを思わせる芳香があり、「ブルーアニスセージ」とも呼ばれます。この香りはポプリなどの芳香用途で楽しめますが、メドーセージは観賞用のサルビアで、食用には向きません(詳しくは後述します)。
花言葉は「尊敬」「知恵」など。英語で賢人を意味する「sage」と同じ綴りであることから「知恵」の花言葉が、青い花が敬意を連想させることから「尊敬」の花言葉が付けられたと言われています。
剪定・切り戻しの方法と目的・時期
メドーセージは花期が長く、6月から10月ごろまで咲き続けます。花付きをよくするには、伸びた茎を切り戻して新芽の出を促すことが大切です。花が終わったら剪定して株元を整えると、翌年も花芽が付きやすくなります。
| 適期 | 目的と方法 | |
| 剪定 | 花後(10~11月ごろ) | 株元から10~15cmほど残してカット。株姿を整え、風通しをよくして病害虫を予防し、冬越しをしやすくします。 |
| 切り戻し | 開花期(5~9月ごろ) | 茎の先端から3~4節分を残してカット。花付きをよくする目的で行います。 |
メドーセージが増えすぎるのを防ぐ管理方法
メドーセージは、ハーブの中でもとくに繁殖力が強い宿根草です。一度根付くと地下茎でどんどん広がり、春には勢いよく増えていきます。庭や花壇で地植えする場合は、増えすぎに注意しましょう。
| 管理方法 | 具体的な対策 |
| 地下茎の広がりを抑える | ポットや鉢に入れたまま地植えする、不織布で囲む、ハーブ用の地中仕切りを使う、などの方法があります。 |
| 剪定する | 花後に株元から剪定し、茎が大きくなりすぎるのを防ぎます。 |
植え付け時のひと手間と、適度な切り戻し・剪定で、大きさをコントロールできます。
夏越しは湿気や蒸れに注意する
暑さには強い植物ですが、夏越しには次の点に注意します。
- 水やりは土が乾いたらたっぷりと(株元から、鉢底から水が出るくらい)
- 日当たりと風通しをよくして湿気・蒸れを防ぐ
- 梅雨どきの蒸れには切り戻しや剪定で対処する
真夏の強い日差しが気になる場合は、午前中に日を当て、午後は日陰になる場所や半日陰で育てると安心です。
耐寒性と冬越しの方法
メドーセージの耐寒性は-10℃程度とされ、ハーブの中では寒さに強いほうです。関東以南の多くの地域では、地植えのまま冬越しできます。ただし、それを下回る寒冷地や降雪・強い霜のある地域では、株元の防寒や鉢の室内取り込みをするとよいでしょう。
地下茎で増えるタイプなので、冬は地上部が枯れても地中の根は生きており、春になると新芽が出てきます。冬前に地上部を切り戻し、株元を敷き藁やマルチングで覆って保温しておくと安心です。
室内に取り込む場合は、日当たりと風通しのよい場所に置き、水やりは控えめにします。
メドーセージの増やし方
メドーセージは、種まきのほか、挿し木や株分けでも増やせます。ここでは挿し木と株分けの方法を解説します。
挿し木で増やす方法と時期
挿し木は5~6月ごろが適期です。
- 若く元気な枝を切り取り、1時間ほど水につけて挿し穂を作る
- 土に埋まる部分の葉を取り除く
- 切り口に発根促進剤をつけ、水はけのよい清潔な土に挿す
- 直射日光を避けた日陰に置き、土が乾いたら水やりをする
根付くまでは水を切らさないようにし、根付いたら日当たりのよい場所に移します。
株分けで増やす方法と時期
地下茎で増えるので、1~2年に一度、株分けで整理するとよいでしょう。負担の大きい真冬・真夏を避け、春か秋の暖かい日に行います。
- 株元から茎を切り落とす
- 根鉢を掘り起こし、地下茎を含む部分をナイフなどで切り分ける
- 傷んだ部分や余分な葉を取り除く
- 水はけのよい清潔な土に植え付ける
- 水やりは土が乾いたら行い、直射日光を避けて管理する
根付くまでは水を切らさないようにし、根付いたら日当たりのよい場所へ移します。
葉の活用方法(食用には向きません)
メドーセージは「セージ」と名が付きますが、食用・薬用のコモンセージとは別種で、観賞用のサルビアです。葉にはアニスのような芳香がありますが、食用には向きません。販売苗には観賞用の薬剤が使われていることがあり、味もほとんどしないため、食べるメリットはありません。
セージを食用・薬用に楽しみたい場合は、コモンセージを選びましょう。
一方、葉の香りはポプリやドライフラワーとして楽しめます。乾燥させるときは、茎ごと束ねて風通しのよい日陰に吊るし、完全に乾いたら密閉容器で保管します。また、独特の香りから、周りの植物を害虫から守るコンパニオンプランツとしても利用されます。
メドーセージの香りや使い方については、こちらのページで詳しく紹介しています。
メドーセージの育て方に関するQ&A
最後に、よくある疑問にお答えします。
- 毒性はある?食べられる?
- 日陰でも育つ?
- メドーセージは多年草?
毒性はある?食べられる?
メドーセージ(サルビア・ガラニチカ)は観賞用のサルビアで、食用・薬用には向きません。強い毒性が知られているわけではありませんが、食用としての安全性に関する十分なデータはなく、観賞用の苗には食用外の薬剤が使われている場合もあります。味もほとんどしないため、食べたりハーブティーにしたりするのはおすすめできません。
なお、薬用・食用として知られるのはコモンセージやクラリセージなどで、これらも多量摂取は避けるべきとされ、特に妊娠中・授乳中は注意が必要です。セージを食用に楽しみたい場合は、コモンセージを選びましょう。
日陰でも育つ?
半日陰でも育ちますが、花芽が付きにくくなったり花色が薄くなったりすることがあります。また、日当たりや風通しが悪いと蒸れて病気が出やすくなります。どうしても日陰で育てる場合は、風通しや水はけなど他の条件をしっかり整えましょう。
メドーセージは多年草?
メドーセージは多年草です。冬に地上部が枯れて休眠するため一年草のように見えますが、春になると新芽が出てきます。
ただし、1~2年に一度は株分けで整理し、霜の降りる寒冷地では防寒対策をしておくと、毎年きれいに咲かせられます。
まとめ:メドーセージの育て方のポイント
メドーセージ(サルビア・ガラニチカ)は、夏から秋に濃い青紫色の花を長く咲かせるシソ科の多年草です。
丈夫で育てやすく、日当たりと風通しのよい場所なら痩せ地でもよく育ちます。水やりや肥料は控えめでよく、病害虫にも強い植物です。開花期に切り戻すと花期が長くなり、株分けや挿し木で簡単に増やせます。
耐寒性は-10℃程度と比較的強いものの、寒冷地では冬にマルチングや室内取り込みで保護するとよいでしょう。地下茎で旺盛に広がるので、地植えでは増えすぎ対策も忘れずに。
涼しげで鮮やかな花色が魅力のメドーセージ。ぜひこの記事を参考に育ててみてくださいね。