肌の調子は、季節や体調、ストレスなどによって日々ゆらぎがちです。乾燥やかさつき、ちょっとした赤みなど、肌の不調は誰にとっても身近な悩みといえるでしょう。
そんなとき、暮らしにそっと寄り添ってくれるのが、古くから親しまれてきたハーブ、カモミール(カミツレ)です。ハーブティーでおなじみのこの植物は、リラックスタイムの一杯としてだけでなく、スキンケアの分野でも長く活用されてきました。
この記事では、カモミールがなぜ肌のお手入れに用いられてきたのか、その成分や取り入れ方、注意点までをわかりやすくご紹介します。
※本記事は植物・成分に関する一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の効果・効能を保証するものではありません。肌の状態に不安がある場合は、皮膚科などの専門医にご相談ください。
カモミール(カミツレ)の特徴

カモミール(カミツレ)は、ヨーロッパ原産のキク科の植物で、古くから薬用ハーブとして親しまれてきました。現在ではハーブティーやアロマ、スキンケア製品など、さまざまな形で暮らしに取り入れられています。
カモミールを語るうえで欠かせないのが、りんごを思わせる甘くやわらかな香りです。この香りはカマズレンやα-ビサボロールといった精油成分によるもので、こうした成分はその働きが古くから注目されてきました。
カモミールにはいくつかの種類がありますが、よく利用されるのは「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の2種類です。
ジャーマンカモミールは一年草で、香りのもとになる精油成分を豊富に含むことから、ハーブティーや化粧品原料として広く使われています。一方、ローマンカモミールは多年草で、香りはより穏やか。アロマオイルやハーブティーとして楽しまれています。
カモミールが肌のお手入れに使われてきた理由と成分
カモミール(カミツレ)は、ヨーロッパで2000年以上にわたって薬用植物として用いられ、中世にはスキンケアにも好んで使われてきた歴史を持ちます。現代でも、化粧水や洗顔料、入浴剤など、肌にふれる製品に「カミツレ花エキス」などの名前で配合されているのを目にする機会は多いでしょう。
ここでは、カモミールが肌のお手入れに用いられてきた背景を、代表的な成分とともに見ていきます。
カマズレン・α-ビサボロール
カマズレン(アズレンの一種)やα-ビサボロールは、カモミールの精油に含まれる代表的な成分です。これらは肌をすこやかに保つ目的で、化粧品やヘアケア製品に古くから配合されてきました。
とくにアズレン系の成分は、肌荒れを防ぎ、肌をなめらかに整える成分として、敏感肌向けのアイテムにもよく用いられています。
フラボノイド類
カモミールには、アピゲニンやルチンといったフラボノイド類が含まれています。これらは植物に広く存在する成分で、カミツレ花エキスが肌を整える働きを持つとされる背景のひとつと考えられています。
カミツレ花エキスとしての働き
化粧品の世界では、カモミールの花から抽出された成分が「カミツレ花エキス」として配合されています。これはスキンコンディショニング成分(肌をすこやかに保つ成分)に分類され、うるおいを与えて肌のキメを整える目的で、化粧水やクリームなどに用いられます。
カミツレ花エキスは医薬部外品の原料規格にも収載されており、長い使用実績を持つ、なじみ深い植物由来成分のひとつです。
「カミツレ花エキス」と「カモミラET」の違い
カモミール由来の化粧品成分には、いくつかの種類があり、それぞれ位置づけが異なります。この違いを知っておくと、化粧品選びの際に役立ちます。
「カミツレ花エキス」「カミツレエキス」は、カモミールの花(または花と葉)から抽出されるエキスで、肌をすこやかに保つスキンコンディショニング成分として、化粧水や洗顔料など幅広い製品に配合されています。
一方で「カモミラET」は、これらとは区別される成分です。カミツレの花から特定の方法で抽出されたもので、医薬部外品の「美白」有効成分として承認されているのは、カモミール由来成分のなかでこのカモミラETのみです。メラニンの生成に関わる情報伝達物質に着目して開発された成分で、薬用化粧品(医薬部外品)に配合されています。
つまり、同じ「カモミール由来」でも、一般的なカミツレ花エキスと、美白有効成分のカモミラETは役割が異なります。「美白」を目的に選びたい場合は、カモミラETが有効成分として配合された医薬部外品を選ぶとよいでしょう。
ここがポイント
- カミツレ花エキス・カミツレエキス … 肌を整えるスキンコンディショニング成分
- カモミラET … カモミール由来で唯一の「美白」医薬部外品有効成分
※「美白」とは、メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐことを指します。
肌のお手入れにカモミールを取り入れる方法
カモミールは、化粧品・入浴・ハーブティーなど、さまざまな形で暮らしに取り入れられます。ここでは代表的な方法と、その際の留意点をご紹介します。
カモミール配合の化粧品として使う
もっとも手軽なのは、カミツレ花エキスなどが配合された化粧水やクリーム、洗顔料を使う方法です。市販の製品は安全性や使用感が確かめられたうえで作られているため、毎日のスキンケアに無理なく取り入れられます。
敏感肌向けやデリケートな肌のための化粧品にカモミール由来成分が使われていることも多いので、成分表示をチェックしてみるのもおすすめです。
入浴に取り入れる
乾燥させたカモミールを煮出した液を湯船に加えれば、ハーブの香りに包まれるカモミール風呂を楽しめます。市販のカモミール配合入浴剤を使う方法も手軽です。
やわらかな香りに包まれてゆっくりと湯につかる時間は、一日の終わりのリラックスタイムにぴったり。あたたかなお湯につかること自体が、肌のうるおいや巡りにとって心地よいひとときになります。
ハーブティーとして楽しむ
カモミールティーは、就寝前のひと息や、ほっと落ち着きたいときの一杯として親しまれています。ノンカフェインで、やさしい風味が好まれています。
なお、ハーブティーは食品であり、肌への直接的な効果をうたうものではありません。あくまで、心地よいリラックスタイムを楽しむ飲み物として取り入れるのがおすすめです。バランスのよい食事や十分な睡眠といった生活習慣全体が、肌のコンディションを支えてくれます。
カモミールを使う際の注意点とアレルギーについて
カモミールは身近なハーブですが、肌に用いる際にはいくつか気をつけたい点があります。安心して取り入れるために、次のポイントを確認しておきましょう。
キク科アレルギーのある方は使用を避ける
カモミールはキク科の植物です。ブタクサ、マリーゴールド、菊などキク科植物にアレルギーのある方は、反応が出ることがあるため使用を避けてください。
初めて使うときはパッチテストを
化粧品でも手作りのハーブ液でも、初めて肌に使う際は、腕の内側など目立たない部分で試してから使うと安心です。赤みやかゆみが出た場合は使用を中止してください。
飲用のハーブティーをそのまま肌に塗らない
飲むために淹れたハーブティーを自己流で顔に塗る方法は、濃度や衛生状態が安定せず、肌への刺激やトラブルの原因になることがあります。肌に使う目的なら、肌用に作られた化粧品を選ぶほうが安心です。
妊娠中・授乳中の方、肌の不調が強い方は専門家に相談を
妊娠中・授乳中の方は、念のため使用前に医師や薬剤師にご相談ください。また、肌荒れや湿疹などの症状が強い場合は、自己判断でケアを続けず、皮膚科を受診しましょう。
カモミールと肌に関するよくある質問
カモミールティーを肌に塗ってもいい?
飲用のハーブティーを肌に塗ることは、衛生面やアレルギーのリスクから積極的にはおすすめできません。肌のお手入れには、肌用に設計されたカモミール配合の化粧品を使うほうが安心です。
カモミールはどんな肌質の人に向いている?
カモミール由来成分は、敏感肌向けやデリケートな肌のための化粧品にも配合されています。ただし、キク科アレルギーのある方には向きません。肌質に不安がある場合は、パッチテストを行ったうえで取り入れてください。
ジャーマンとローマン、肌のお手入れにはどちらがいい?
化粧品原料としては、精油成分を豊富に含むジャーマンカモミール由来のエキスが広く使われています。香りを重視してアロマや入浴で楽しみたい場合は、ローマンカモミールも人気です。目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
まとめ:カモミール(カミツレ)と肌のお手入れ
カモミール(カミツレ)は、リラックスタイムの香りとしてだけでなく、古くからスキンケアの分野でも親しまれてきたハーブです。
カマズレンやα-ビサボロール、フラボノイド類といった成分を含み、化粧品では「カミツレ花エキス」として肌を整える目的で配合されています。なかでも「カモミラET」は、カモミール由来で唯一の美白有効成分として医薬部外品に用いられています。
化粧品・入浴・ハーブティーと、取り入れ方はさまざま。それぞれの特性と注意点を知ったうえで、自分のライフスタイルに合った形で楽しむのがおすすめです。キク科アレルギーやパッチテストなど、安全面に配慮しながら、カモミールのやさしい香りとともに、心地よいケアの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。