レッドクローバー(別名アカツメクサ、和名ムラサキツメクサ)は、マメ科シャジクソウ属の多年草です。
道端や土手で雑草として見かけることも多い植物ですが、赤紫色の愛らしい花を咲かせ、グランドカバーや緑肥として、またハーブティーとしても利用できる、用途の広い植物です。
この記事では、レッドクローバーの育て方を、種まきから日々の管理、そしてハーブ・グランドカバー・緑肥という3つの活用法まで、栽培の流れに沿って紹介します。これから育ててみたい方は、ぜひ参考にしてください。
レッドクローバー(アカツメクサ)とは|基本情報
育て方に入る前に、まずはレッドクローバーがどんな植物なのかを押さえておきましょう。性質を知っておくと、その後の管理や活用が分かりやすくなります。
ここでは分類・原産と、よく似たシロツメクサとの違いを紹介します。
分類・原産・特徴
レッドクローバーは、学名を Trifolium pratense といい、マメ科シャジクソウ属の多年草です。和名はムラサキツメクサ、別名アカツメクサとも呼ばれます。
原産はヨーロッパで、日本へは明治時代に牧草として渡来し、各地に帰化しました。草丈は30〜80cmほどで、茎は立ち上がって伸びます。赤紫色の小さな蝶形花が多数集まり、径3cmほどの球状の花をつけます。暑さ・寒さに強く、とても丈夫で繁殖力が旺盛です。
シロツメクサ(クローバー)との違い
レッドクローバーは、おなじみのシロツメクサ(クローバー)と同じシャジクソウ属ですが、いくつかの違いで見分けられます。
最も分かりやすいのは花のすぐ下です。レッドクローバーは花のすぐ下に葉がつきますが、シロツメクサは花茎が長く、花の下に葉がありません。また、レッドクローバーの葉にはV字形の白い斑が入り、全体に毛が多く、シロツメクサより大型です。シロツメクサが地を這って広がるのに対し、レッドクローバーは茎が立ち上がる点も異なります。
種まきの時期と方法
レッドクローバーは種からよく育ち、発芽もそろいやすい植物です。直まきでも、ポットで苗を作ってからでも育てられます。
ここでは種まきの適期と、具体的な手順を見ていきます。
種まきの適期
種まきの適期は、春(3〜5月)と秋(9〜10月)の年2回です。発芽には適度な気温が必要で、気温が20℃前後の穏やかな時期が向いています。
直まきと苗作りのどちらでも育てられますが、広い範囲をグランドカバーや緑肥にする場合は直まきが手軽です。
種まきの手順
直まきの場合は、土を耕してふかふかにし、種が重ならないようにまんべんなくまきます。種は小さいので、薄く覆土し(種が隠れる程度)、水をたっぷり与えます。
ポットで苗を作る場合は、育苗箱やポットに種をまいて5mmほど覆土し、本葉が2〜3枚になったら間引いて植え付けます。いずれの場合も、発芽までは土を乾かさないよう水やりを続け、発芽後は日当たりのよい場所で育てます。
レッドクローバー栽培に適した環境と管理
レッドクローバーは丈夫で手がかからない植物ですが、置き場所と水やりのポイントを押さえると、より健やかに育ちます。
ここでは用土・置き場所・水やり・肥料の基本を紹介します。
用土と置き場所
日当たりがよく、水はけのよい、やや湿り気のある土を好みます。鉢植えでは、赤玉土小粒と腐葉土を6:4で混ぜたものや市販の草花用培養土を使い、鉢底に軽石を敷いて水はけをよくします。
地植えでは、土壌をあまり選ばず適応力がありますが、日当たりのよい場所を選ぶと花つきがよくなります。
水やりと肥料
水やりは、土が乾いたらたっぷり与えます。夏は乾きやすいので様子を見て与え、冬はやや乾かし気味に管理します。地植えで根づいた後は、ほとんど水やりは不要です。
肥料はほとんど必要ありません。マメ科のレッドクローバーは、根に共生する根粒菌の働きで空気中の窒素を取り込めるため、やせ地でも育ちます。鉢植えで生育が思わしくないときだけ、液体肥料を控えめに与えれば十分です。
刈り戻し(切り戻し)と病害虫対策
レッドクローバーは放任でも育ちますが、刈り戻しをすると風通しがよくなり、再び花を楽しめます。
ここでは刈り戻しのやり方と、注意したい病害虫を紹介します。
刈り戻しのやり方と目的
花が一通り咲き終わったら、地際から数cm〜10cmほど残して刈り戻します。これにより、わき芽が伸びて再び花が咲きやすくなり、株の蒸れや病気の予防にもなります。
刈り戻しは、清潔な刃物を使い、晴れた日に行うと切り口が乾きやすく安心です。咲き終わった花をこまめに摘んでおくと、こぼれ種で広がりすぎるのを抑えられます。
注意したい病害虫
レッドクローバーは丈夫ですが、高温乾燥期にはハダニやアザミウマが発生することがあります。
ハダニは、葉の裏に葉水をかけておくと予防になります。害虫を見つけたら早めに取り除き、株が混み合っている場合は刈り戻して風通しをよくすると、被害が出にくくなります。
耐寒性と冬越し
レッドクローバーは耐寒性が強く、冬越しに特別な手間はかかりません。寒さに当たっても、根が生きていれば春にまた芽吹きます。
ここでは冬の様子と、注意点を紹介します。
冬の状態
冬になると、寒い地域では地上部が枯れたようになって越冬します。根は生きているため、春に気温が上がると再び新しい芽が伸びてきます。
耐寒性が高いので、基本的に防寒対策は不要です。
雪が積もる地域での注意
雪が積もる地域では、雪の重みで茎が倒れたり折れたりすることがあります。
気になる場合は、雪が重くなりすぎないよう雪を払うなどの対策をするとよいでしょう。地際で枯れ込んでいても、春には芽吹くので過度に心配する必要はありません。
レッドクローバーの増やし方
レッドクローバーは、主に種で増えます。こぼれ種からも自然に広がるため、増やすのは難しくありません。
ここでは種まきによる増やし方と、こぼれ種の扱いを紹介します。
種まき・こぼれ種で増やす
増やす基本は、採取した種をまく方法です。花が咲き終わって茶色く熟したら種を採取し、春または秋にまきます。
レッドクローバーはこぼれ種からもよく増えます。繁殖力が旺盛なので、広がりすぎてほしくない場所では、花がらをこまめに摘んで種をつけさせないようにします。
広がりすぎへの注意
繁殖力が強いため、地植えにすると周囲に広がっていくことがあります。
範囲を限定したい場合は、植える場所を仕切る、プランターで育てる、花がらを早めに摘むといった工夫をすると管理しやすくなります。
レッドクローバーをグランドカバーとして使う
レッドクローバーは丈夫で広がりやすいため、グランドカバー(地面を覆う植栽)にも利用できます。
ここでは活用のポイントと、管理のコツを紹介します。
グランドカバー利用のポイント
日当たりのよい場所に種をまけば、自然に株が増えて地面を覆います。雑草の抑制や、土の乾燥・流出を防ぐ効果も期待できます。
シロツメクサより草丈が高く立ち上がるため、低く保ちたい場所では、定期的に刈り込むと整った見た目を維持できます。
管理のコツ
広がりすぎないよう、範囲を区切っておくと管理が楽になります。伸びてきたら刈り込み、こまめに整えることで、密度のある緑のカバーを保てます。
刈り取った茎葉は、そのまま緑肥として土に活かすこともできます。
レッドクローバーを緑肥として使う
マメ科のレッドクローバーは、緑肥(土にすき込んで土壌を豊かにする植物)としても優れています。野菜畑や休耕地の土づくりに役立ちます。
ここでは緑肥になる仕組みと、すき込みの方法を紹介します。
緑肥になる仕組み
レッドクローバーの根には根粒菌が共生し、空気中の窒素を取り込んで土に固定します。これにより、化学肥料に頼らずに土の窒素分を増やすことができます。
根が広く深く張るため土をやわらかくする効果もあり、土壌改良に向いた緑肥作物として知られています。
すき込みの方法とタイミング
緑肥として使う場合は、茎葉を刈り取り、10cmほどに刻んで天日で1日ほど干してから土と混ぜ込みます。
マメ科を緑肥にするときは、種ができる前(結実前)の、植物体が柔らかいうちにすき込むのがポイントです。すき込んだ茎葉が土の中で分解され、次に育てる作物の栄養になります。農研機構などが公開する緑肥利用の資料も参考になります。
開花時期・花言葉とハーブ利用
レッドクローバーは初夏から夏にかけて花を咲かせ、その花や葉はハーブとしても親しまれてきました。
ここでは開花時期と花言葉、ハーブ利用の注意点を紹介します。
開花時期と花言葉
開花時期は5〜8月ごろで、赤紫色の球状の花を咲かせます。
花言葉には「豊かな人生」「繁栄」「幸福」などがあり、赤紫の花色から愛情を表すこともあります。三つ葉・四つ葉の縁起のよいイメージとも結びつき、親しまれてきました。
ハーブとして利用するときの注意
レッドクローバーの花や葉は、ヨーロッパなどで古くからハーブティーとして親しまれてきました。花を乾燥させてお茶にするほか、花を彩りに使うこともあります。
食用やハーブとして利用する場合は、必ず食用として販売されているものを使います。道端に自生しているものや観賞用に流通している苗は、農薬などの影響があることがあるため、口に入れる用途には向きません。レッドクローバーの特徴についてはこちらのページでも紹介しています。
まとめ:レッドクローバーの育て方のポイント
この記事では、レッドクローバーの育て方を種まきから活用法まで紹介しました。ポイントは次のとおりです。
- レッドクローバーはマメ科の多年草で、和名はムラサキツメクサ、別名アカツメクサ。
- 日当たりと水はけのよい場所を好み、丈夫で繁殖力が強い。
- 種まきは春(3〜5月)と秋(9〜10月)が適期。
- マメ科で根粒菌が窒素固定するため、肥料はほとんど不要。
- 開花は5〜8月。赤紫色の球状の花を咲かせる。
- グランドカバー・緑肥・ハーブと用途が広い。緑肥にするなら結実前にすき込む。
- 繁殖力が強いので、広がりすぎ対策をしておくと管理しやすい。
丈夫で育てやすく、初心者でも気軽に挑戦できる植物です。観賞だけでなく、土づくりやハーブとしても、暮らしの中で多彩に楽しんでみてください。