ルバーブは、フキに似た赤や緑の茎(葉柄)を食べる西洋野菜です。独特の爽やかな酸味があり、ジャムやパイ、お菓子の材料としてヨーロッパで古くから親しまれてきました。
日本のスーパーではなかなか手に入りにくい食材ですが、冷涼な気候を好む性質から、家庭菜園、特に北海道や高原などの涼しい地域では育てやすい野菜です。一度植えれば数年は収穫を楽しめるのも魅力です。
この記事では、ルバーブの種まき・苗の植え付けから日々の管理、収穫、夏越し・冬越しまでをわかりやすく解説します。なお、ルバーブは食用にする茎以外に注意すべき点があるので、その点もあわせてお伝えします。家庭菜園でルバーブを育ててみたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ルバーブの基本情報と栽培前の注意点
育て方の前に、まずはルバーブの基本情報と、栽培するうえで必ず知っておきたい注意点を押さえておきましょう。
| 科名・属名 | タデ科カラダイオウ属 |
| 和名 | ショクヨウダイオウ(食用大黄) |
| 分類 | 多年草(野菜・ハーブ) |
| 原産地 | シベリア南部 |
| 草丈 | およそ50cm〜1m(大株になる) |
| 栽培適温 | 15〜20℃前後(冷涼な気候を好む) |
| 食用部位 | 葉柄(茎の部分) |
| 収穫開始 | 植え付け2年目から |
ルバーブはタデ科の大型の多年草で、シベリア南部を原産とします。寒さに強く暑さに弱いため、日本では北海道や長野県などの涼しい地域での栽培に向いています。冬は地上部が枯れますが、春に再び芽吹き、一度植えれば4〜5年は収穫を楽しめます。
栽培で必ず知っておきたいのが、食べられるのは茎(葉柄)の部分だけという点です。ルバーブの葉にはシュウ酸が多く含まれており、人体に有害なため食用にはできません。収穫の際は葉を切り落とし、葉は廃棄するかコンポストに入れます。小さなお子さんやペットが誤って葉を口にしないよう注意しましょう。
ルバーブ栽培に適した環境と土づくり
ルバーブを上手に育てるには、冷涼で水はけの良い環境を整えることが何より大切です。置き場所と土づくりのポイントを見ていきましょう。
日当たり・置き場所
ルバーブは日当たりと風通しの良い場所を好みます。ただし暑さに弱いため、真夏の強い直射日光や西日は苦手です。夏に高温になる地域では、午後は日陰になる場所を選んだり、鉢植えなら涼しい場所へ移動できるようにしたりすると安心です。
また、耐湿性が低く過湿に弱いのも大きな特徴です。水はけの悪い場所では根腐れを起こして枯れてしまうことがあるため、地植えでは高畝にして排水性を高めるのがおすすめです。
土づくり
ルバーブは、水はけがよく栄養分の多い土を好みます。やや酸性を嫌うため、土を弱酸性〜中性に整えておきましょう。
地植えの場合は、植え付けの2週間前までに苦土石灰を1㎡あたり100gほどまいてよく耕し、1週間前に堆肥と元肥を混ぜ込んでおきます。鉢やプランターの場合は、市販の野菜用培養土が手軽です。自分で配合するなら、赤玉土(小粒)7・腐葉土3の割合に堆肥を混ぜたものが向いています。鉢底には鉢底石を敷いて、排水性を確保しましょう。
ルバーブの種まきと苗の植え付け
ルバーブは種からも苗からも育てられますが、それぞれにコツがあります。育苗はやや難しいため、初心者には苗からの栽培がおすすめです。
種まきの時期と方法
ルバーブを種から育てる場合、種まきの適期は十分暖かくなった春(3〜4月ごろ)です。発芽適温は20〜25℃程度とやや高めなので、気温が低い時期はビニールなどで覆って保温すると発芽しやすくなります。
種まきの手順は次のとおりです。育苗ポットや育苗箱に種まき用の土を入れ、5cm間隔で2〜3粒ずつ点まきにします。軽く土をかぶせ、乾燥しないように水やりをして管理しましょう。およそ2週間で発芽したら、生育の良いものを残して間引き、本葉が3〜4枚になったら畑や鉢へ植え付けます。
苗の植え付けの時期と方法
種からだと発芽率が安定せず収穫まで時間がかかるため、初心者は苗から育てると失敗が少なくなります。苗の植え付け適期は4〜5月です。気温が高くなると生育が緩慢になるので、時期を守るのがポイントです。
植え付けの手順は次のとおりです。
- 根鉢より一回り大きな植え穴を掘る。
- 根鉢を崩さないよう、苗を丁寧に取り出す。
- 穴に苗を入れ、株元(生長点)が深く埋まらないように用土を入れる。
- 株元を軽く押さえて、根と用土を密着させる。
- 水をたっぷりと与える。
ルバーブは大株に育つため、株間は50cm以上、できれば1mほどあけて植え付けます。なお、生長点(クラウン)を深植えすると腐りやすいので、浅めに植えるのがコツです。植え付け後は、泥はねや乾燥を防ぐために株元に敷きワラやマルチングをしておきましょう。
鉢植え・プランターで育てる方法
ルバーブは大株になるため地植えが基本ですが、夏に涼しい場所へ移動できる利点があるため、鉢植え・プランター栽培も可能です。暑い地域ではむしろ移動できる鉢植えが向いている場合もあります。
鉢やプランターは、深く根を張るため8号以上の深型・大型のものを選びます。大型のプランターなら2株、8〜12号鉢なら1株が目安です。用土は水はけの良い野菜用培養土を使い、鉢底石を敷いて排水性を確保します。日当たりと風通しの良い場所に置き、夏は直射日光や西日を避けた涼しい場所で管理しましょう。
ルバーブの日常管理(水やり・肥料)
植え付けが終わったら、日々の水やりと肥料の管理に移ります。過湿を嫌う一方で乾燥にも注意が必要なので、メリハリのある管理を心がけます。
水やり
地植えの場合、根づいた後は基本的に水やりはほとんど必要ありません。乾燥が長く続くときだけ与えれば十分です。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
いずれも過湿による根腐れに注意が必要です。特に夏場の水やりは、気温が上がる前の朝の涼しい時間帯に行いましょう。日中の暑い時間に与えると、根を傷める原因になります。
肥料
ルバーブは肥料を好む野菜です。植え付け後、根づいてから月に1回ほど株元に追肥をして土寄せをすると、株が充実して翌年以降の収穫量が増えます。
ただし、肥料の与えすぎは逆効果です。過剰な施肥は肥料やけによる根腐れを招くことがあり、特に暑い時期の追肥は避けます。2年目以降は株が大きくなりすぎて茎が折れやすくなることもあるため、生育の様子を見ながら量を調整しましょう。冬越し前にお礼肥として株元に堆肥をまいておくと、翌春の生育がよくなります。
花が咲いたら早めに摘み取る(摘蕾)
ルバーブは初夏(5〜7月ごろ)に、穂状のクリーム色の花を咲かせます。花は観賞価値が高いものではなく、香りもほとんどありません。
食用にする茎の生育を優先するなら、花芽は早めに摘み取る「摘蕾(てきらい)」がおすすめです。花を咲かせて種をつけると、その分の栄養が奪われ、茎が硬くなって風味が落ちたり、株が弱ったりします。つぼみがついたら、清潔なハサミで花茎の付け根から切り落としましょう。種を採りたい場合を除いて、花茎は見つけしだい早めに除去するのが、おいしい茎を長く収穫するコツです。
ルバーブの収穫
ルバーブは葉柄(茎)の部分を収穫して食用にします。収穫の時期と正しい方法、そして安全上の注意点を押さえておきましょう。
収穫の時期
収穫の適期は5〜6月の初夏です。この時期は茎が太く柔らかく、酸味も程よくなります。秋になると茎が硬く細くなり、酸味も強まります。
重要なのは、植え付け1年目は収穫しないことです。1年目は株を充実させる期間とし、収穫は2年目以降に始めます。1年目に収穫すると株が弱って枯れる原因になります。2年目以降、茎が30cm以上に育ったら収穫適期です。30〜45cmが最もおいしい長さとされています。
収穫の方法と注意点
収穫は、清潔なハサミやナイフを使い、茎の付け根(地際付近)で切り取ります。一度にすべて収穫せず、株の3分の1ほどを目安にし、最低でも数本の茎は残しておくと、株が弱らず翌年も元気に育ちます。
収穫時に最も注意すべきなのが、葉の扱いです。前述のとおり、ルバーブの葉にはシュウ酸が多く含まれ食べられないため、収穫したらすぐに茎から切り落とし、葉は廃棄するかコンポストに入れます。茎の色は品種によって濃い赤・薄い赤・緑とさまざまで、緑色でも食べられるので、色だけで収穫の可否を判断しないようにしましょう。収穫した茎は、ジャムやコンポートなどに加工して楽しめます。
ルバーブの夏越し
暑さに弱いルバーブにとって、高温多湿になる日本の夏は最大の難関です。特に鉢植えやプランターでは根が暑さで傷みやすいので、夏越しの対策が重要になります。
まず、直射日光や西日を避け、できるだけ涼しい場所で管理します。鉢植えなら半日陰へ移動させ、地植えなら日よけを設けると効果的です。水やりは朝の涼しい時間帯に行い、株元に敷きワラやマルチングをして地温の上昇と乾燥を防ぎます。また、暑さで株が弱っているときの収穫は控えめにし、株を休ませましょう。暖地では夏以降の収穫は避け、翌春まで株を休ませるのが安全です。
ルバーブの冬越し
ルバーブはシベリア原産で耐寒性が高いため、冬越しはそれほど難しくありません。冬になると地上部は枯れますが、根は生きており、春になると再び芽吹きます。
基本的に特別な対策は不要ですが、雪が多い地域や氷点下10℃を下回るような寒冷地では、株元に落ち葉や枯れ草でマルチングをして、根を保護し地温を保つと安心です。地上部が枯れたら刈り取り、お礼肥として株元に堆肥をまいておくと、翌年の生育がよくなります。
寒冷地(北海道)でのルバーブ栽培
ルバーブは数ある野菜のなかでも、寒冷地で本領を発揮する珍しい作物です。北海道でハーブや野菜を育ててきた経験から、寒冷地ならではのポイントをお伝えします。
暖地の栽培者が夏越しに苦労するのとは対照的に、北海道のような冷涼地ではルバーブは非常に育てやすく、夏越しの心配がほとんどいりません。涼しい気候のなかで茎が太く立派に育ち、暑さで風味が落ちることも少ないため、暖地よりも質の良い収穫が期待できます。
さらに、茎の赤色のもとであるアントシアニンは、低温でよく発色します。そのため、寒暖差のある寒冷地では赤茎種がより鮮やかに色づきやすく、暖地では難しい「真っ赤なルバーブ」を育てやすいのも大きな利点です。一方で注意したいのが冬の寒さです。北海道の厳しい冬でも根は耐えますが、雪が少なく地面が凍結するような場所では、株元にしっかりマルチングをして根を守りましょう。むしろ雪が積もる地域では、雪が天然の保温材となって株を守ってくれます。
ルバーブの増やし方(株分け・種採り)
ルバーブは株分けと種採りで増やせます。親株と同じ性質を確実に受け継がせたい場合は、株分けがおすすめです。
株分けの適期は3〜5月です。ただし、株が充実していない4年未満の若い株では株分けに向かないため、4年以上育てた株に行います。掘り上げた根株を、根元の芽が1つ以上つくように手やナイフで切り分け、新しい場所に植え付けるだけと手順は簡単です。
種採りをする場合は、摘蕾せずに花を咲かせて種をつけさせます。花の後にできる種は、最初は緑色で、やがて茶色く熟します。種がこぼれ落ちる前に、花茎ごと切り取って採取しましょう。なお、ルバーブには連作障害があるため、一度植えた場所に植え直す場合は2〜3年の間隔をあけるようにします。
ルバーブの病害虫
ルバーブは比較的丈夫な野菜ですが、いくつか注意したい病害虫があります。
代表的なのは、葉の表面が白い粉をふいたようになるうどんこ病です。春と秋に発生しやすく、放っておくと株が弱るため、発生した部分は早めに切り取り、風通しを良くして予防します。害虫では、新芽や葉の汁を吸うアブラムシや、根を食害するコガネムシの幼虫に注意が必要です。見つけしだい駆除し、株元が込み合ってきたら傷んだ葉を整理して風通しを保つと、被害を抑えられます。
ルバーブの育て方に関するQ&A
最後に、ルバーブの育て方でよくある疑問にお答えします。
ルバーブは一年草ですか?
ルバーブは一年草ではなく多年草です。冬に地上部が枯れるため一年草と間違えやすいですが、春になると再び芽吹き、一度植えれば4〜5年は収穫を楽しめます。
苗はホームセンターで買えますか?
ルバーブの苗は、4〜6月や9〜10月ごろに出回ります。最近は大手ホームセンターでも扱われることがありますが、流通量が少なく在庫がない場合もあります。見つからないときは、インターネット通販で苗や種を購入するのが確実です。
茎が赤くならないのはなぜ?
主な理由は品種と気温です。ルバーブには赤茎種と緑茎種があり、そもそも緑色の品種は赤くなりません。また、茎の赤色はアントシアニンという色素によるもので、低温でよく発色します。暖地で高温になると発色が抑えられ、赤くなりにくくなります。茎の色によって味や栄養に大きな差はないので、緑色でもおいしく食べられます。
枯れてしまう主な原因は?
最も多いのは、過湿による根腐れと夏の高温です。ルバーブは水はけの良い土を好み、暑さに弱いため、水はけの悪い環境や真夏の高温多湿で枯れやすくなります。高畝やマルチング、夏場の日よけで対策しましょう。このほか、肥料の与えすぎによる肥料やけや、1年目の収穫しすぎも株を弱らせる原因になります。
相性の良い植物(コンパニオンプランツ)は?
ニラやネギなどのネギ類と相性が良いとされます。独特の香りで害虫を遠ざける働きが期待できるうえ、根の深さがルバーブと異なるため、根の競合が起きにくいのが理由です。
まとめ:ルバーブの育て方のポイント
ルバーブは、爽やかな酸味が魅力のタデ科の多年草で、ジャムやお菓子づくりに活躍する西洋野菜です。最後に、育て方の要点をおさらいしましょう。
ルバーブは寒さに強く暑さに弱いため、冷涼で水はけの良い環境が栽培成功のカギです。種からは育苗が難しいので、初心者は春に苗を植え付けるのがおすすめです。植え付け1年目は株を育てる期間とし、収穫は2年目以降、初夏に清潔なハサミで茎を切り取って行います。
栽培で必ず守りたいのは、食べられるのは茎(葉柄)だけで、葉はシュウ酸を含むため食べられないという点です。収穫までに時間はかかりますが、一度根づけば数年にわたって収穫を楽しめます。特に北海道など涼しい地域では育てやすい野菜なので、家庭菜園でぜひ挑戦してみてくださいね。