「ステビアは体に悪いのでは?」「発がん性や不妊のリスクがあると聞いて不安」——そんな心配からこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、現在の科学的研究では、ステビアに発がん性や不妊のリスクは認められていません。日本・アメリカ・EUなど世界各国の規制機関が安全性を認めており、適量を守れば安心して使える甘味料です。
ただし、「なぜ危険と言われるようになったのか」「子供や妊婦でも大丈夫なのか」「どのくらいまでなら安全なのか」といった点は、正しく知っておく価値があります。
この記事では、ステビアの危険性・安全性について、公的機関や研究報告をもとに詳しく解説します。
ステビアは危険?まず結論を解説
ステビアの危険性についてよく挙がるのが、「発がん性」「不妊」「毒性」の3つです。それぞれ、現在の研究でどう結論づけられているのかを最初にまとめます。
- 発がん性:多くの長期試験で発がん性は認められていません
- 不妊への影響:その後の研究で再現されず、影響はないとされています
- 毒性:通常の使用量では毒性はないことが確認されています
かつては危険視された時期もありましたが、その後の数多くの研究によって安全性が確認され、現在では世界中で広く使われています。以下で、なぜ危険と言われたのか、その真相を一つずつ見ていきましょう。
なぜステビアは危険と言われるようになったのか
ステビアの「発がん性」「不妊」といった不安が広まったのには、明確なきっかけがあります。ここを理解すると、なぜ現在は安全とされているのかが腑に落ちます。
不妊の噂:1968年の動物実験が発端
ステビアの不妊疑惑は、1968年にウルグアイの研究者が発表した報告に起因します。ラットにステビアのエキスを投与したところ、妊娠率の低下が見られたという内容で、これが科学誌に掲載されたことで広く知られるようになりました。
しかし、この試験はその後、複数の研究者によって追試が行われたものの、再現性が得られませんでした。さらに、試験の条件そのものにも信憑性への疑問が投げかけられています。
加えて重要なのは、現在市販されているステビア甘味料は「エキス」ではなく、精製された高純度の成分であり、当時の試験で使われたエキスとは組成がまったく異なるという点です。つまり、この古い実験結果を現在の製品にそのまま当てはめることはできません。
発がん性の噂:代謝物の試験結果が一人歩き
発がん性への懸念は、ステビアが体内で分解されてできる「ステビオール」という成分に関する一部の試験で、遺伝子への影響(変異原性)が示唆されたことが発端です。
ただし、これは試験管内(in vitro)での特定条件下の結果であり、生体内(in vivo)での試験では問題が認められませんでした。その後、複数の研究機関による2年間にわたる長期試験でも発がん性は確認されず、最終的に「発がん性なし」と結論づけられています。
ステビアの危険性と安全性を詳しく解説
ここからは、毒性・発がん性・不妊への影響について、研究結果をもとにそれぞれ詳しく見ていきます。
毒性はあるのか
ステビアには毒性はありません。これまでに数多くの研究がなされ、安全性が認められています。含まれる甘味成分は、体内で分解されても毒性を示さないことが明らかになっています。
発がん性はあるのか
前述の通り、過去には発がん性が疑われた時期もありましたが、その後の長期試験を含む多くの研究により、発がん性はないことが明らかになっています。
現在では、日本をはじめ、アメリカ・中国・EUなど多くの国でステビアの使用が認められています。ただし、各国が承認しているのは精製された「ステビオール配糖体」であり、未精製の全葉や粗抽出物はこの限りではない点には注意が必要です(詳しくは後述します)。
不妊への影響はあるのか
不妊への影響についても、発端となった1968年の試験が再現されなかったことから、影響はないと考えられています。
精製された高純度のステビア甘味料については、生殖への悪影響を示す確かな根拠はありません。「長期摂取で不妊になる」といった情報を見かけることもありますが、これを裏付ける科学的根拠は確認されていません。
危険性・安全性に関する科学的根拠
ステビアの安全性は、国内外の公的機関や研究によって繰り返し確認されています。代表的な資料を以下にご紹介します。
【参考】
日本食品化学研究振興財団による平成8年度 厚生科学研究報告書。
ステビアの安全性に関する研究報告書や試験結果が紹介されています。
ステビアの副作用と注意点
ステビアは安全性の高い甘味料ですが、いくつか知っておきたい注意点があります。
キク科アレルギーのある方は注意
ステビアはキク科の植物です。そのため、キク科の花粉やヨモギなどにアレルギーがある方は、かゆみや発疹、まれに呼吸困難などのアレルギー反応を起こす可能性があります。キク科アレルギーをお持ちの方は、摂取前に医師に相談することをおすすめします。
大量摂取は血圧に影響する可能性
ステビアには血圧を下げる働きがあることが研究で示唆されています。ただしこれは高用量での話で、通常の甘味料としての使用量で問題になることは一般的ではありません。血圧の薬を服用している方などは、念のため大量摂取は避けるとよいでしょう。
甘味への慣れに注意
ステビアは砂糖の200〜300倍の甘さを持つため、強い甘さに慣れてしまうと、日常的に甘味料の摂取量が増えてしまう可能性があります。「カロリーがないから」と多用するのではなく、適量を心がけることが大切です。
ステビアの1日の摂取目安量
ステビアの安全な摂取量の目安は、国際的な評価機関であるJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)が定めた「1日摂取許容量(ADI)」が参考になります。
ADIはステビオールとして体重1kgあたり1日4mgと設定されています。たとえば体重50kgの方であれば、4mg×50kg=1日あたり約200mg(ステビオール換算)が目安となります。
これをステビア甘味成分の量に換算すると、体重50kgの人が1日に摂取する砂糖量に換算して約100gに相当するとされ、日常的な食生活で超えることはまず考えにくい水準です。なお、日本では国としての摂取基準は設けられていませんが、過去の摂取量調査でも、実際の摂取量はこのADIを大きく下回っていることがわかっています。
ステビアと他の甘味料の安全性を比較
ステビアの代替品としては、スクラロースやアスパルテーム、アセスルファムカリウムなどの人工甘味料があります。これらは「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」をうたう食品に広く使われています。
ステビアが植物由来の天然甘味料であるのに対し、これらは人工的に合成された甘味料です。いずれも国際機関で安全性が評価され、適切な使用量の範囲では問題ないとされていますが、近年は摂りすぎへの注意も指摘されています。
なお、2023年5月にWHO(世界保健機関)は、非糖質甘味料(人工甘味料やステビアなどを含む)について、体重管理を目的とした長期的な使用を推奨しないとするガイドラインを公表しました。これは「危険だから使うな」という意味ではなく、「甘味料に頼るのではなく、甘いものそのものの摂取を減らすことが大切」という趣旨です。ステビアを含め、甘味料はあくまで適量を心がけて活用するのがよいでしょう。
ステビアの危険性に関するよくある質問
ここでは、ステビアの危険性についてよく寄せられる質問にお答えします。
子供や妊婦が摂取しても安全?
一般に、FDA(米国食品医薬品局)によって承認された精製ステビオール配糖体は、子供や妊婦にとっても安全と考えられています。
ただし、注意点が2つあります。1つは、市販のステビア製品にはブドウ糖やマルトデキストリンなど他の甘味料が混合されている場合があり、これらが血糖値や体重に影響を与える可能性があること。もう1つは、全葉や粗抽出物(未精製のステビア)はFDAに承認されておらず、安全性に関する研究も不足していることです。
子供や妊婦が摂取する場合は、精製されたステビオール配糖体を含むFDA承認の製品を、適量の範囲で使用するのが安心です。
ステビアでアレルギーは起こる?
ステビアはキク科の植物のため、キク科の花粉やヨモギなどにアレルギーがある方は、ステビアにもアレルギー反応を起こす可能性があります。
症状としては、じんましん、鼻水、喉のかゆみや腫れ、咳、呼吸困難などが現れることがあります。重度の場合は、アナフィラキシーショックという命に関わる状態になることもあるため注意が必要です。
ステビアによるアレルギー反応は非常にまれとされていますが、キク科アレルギーをお持ちの方は、摂取前に医師に相談することをおすすめします。
まとめ:ステビアの危険性は心配しなくてよい
この記事では、ステビアの危険性について解説しました。
一部ではステビアの発がん性や不妊リスクを心配する声もありますが、これらの不安は古い動物実験や、試験管内の限定的な結果が広まったものであり、その後の数多くの研究によって、精製されたステビアには発がん性・不妊・毒性のいずれもないことが確認されています。
ただし、キク科アレルギーをお持ちの方は注意が必要なこと、子供や妊婦は精製された製品を適量使うのが安心なこと、そして「カロリーがないから」と多用せず適量を心がけることは、覚えておきたいポイントです。
正しい知識を持って、ステビアを上手に活用していきましょう。