梅の木に実がなると嬉しくなってすぐに収穫したくなりますが、まだ小さく青い段階での収穫は早すぎることが多いです。
梅酒やカリカリ梅などの加工用であれば青梅のうちに収穫して問題ありませんが、梅干しや梅ジュースに使うなら、実が熟すのを待つ必要があります。
この記事では、収穫が早すぎるとどうなるのかをはじめ、採れ頃を見分けるコツ、早く採りすぎてしまった青梅の追熟方法、青梅に含まれる毒性についてご紹介します。
梅の収穫が早すぎるとどうなる?
梅の収穫が早すぎると、次のようなデメリットがあります。
- 香りや風味が弱く、加工しても仕上がりの味が落ちる
- 実が小さいまま採ることになり、収穫量(重量)が減ってしまう
- 小さすぎる未熟果は、追熟させても完熟梅のような品質にはならない
梅の実は収穫する直前まで木の上で大きく育ち続けるので、早く採りすぎるとそのぶん損をしてしまうわけですね。
また、「青いうちに採って室内で黄色くすればいい」と思われがちですが、追熟でカバーできるのはある程度育った青梅までです。
明らかに小粒で硬すぎる実は、無理に追熟させず梅酒やカリカリ梅などの青梅向けの用途に回すのがおすすめです。
ただし、慌てて収穫してしまった梅も捨てる必要はありません。活用法と追熟の方法は後ほど詳しくご紹介します。
用途別の適切な梅の収穫時期
梅の収穫時期は地域や品種によって異なりますが、一般的には5月下旬から7月中旬にかけてが適期です。
この時期はちょうど梅雨にあたりますが、梅の実が熟す頃に降る雨であることから「梅」の字が使われるようになったという説もあります。
何を作りたいかによって収穫すべきタイミングが変わるので、青梅と完熟梅それぞれの用途と収穫時期を確認しておきましょう。
青梅の収穫時期
青梅は、強い酸味とさわやかな香りが特徴です。実がふっくらと丸みを帯び、皮がピンと張ってきた頃が収穫のサインで、一般的には5月下旬~6月中旬頃に収穫時期を迎えます。
硬くて酸味が強いため生食には向きませんが、梅酒、梅シロップ、カリカリ梅などの加工用としては理想的です。加工することで、その酸味がさまざまな美味しい製品へと生まれ変わります。
完熟梅の収穫時期
完熟梅は6月中旬以降に収穫されることが多いです。
黄色く色づき、甘くフルーティーな香りが際立つのが完熟梅で、味が染み込みやすいため梅干しや梅ジュース作りに最適です。
完熟梅で梅干しを作ると柔らかくジューシーな食感に、青梅で作るとカリカリとした食感に仕上がるので、お好みに合わせて収穫時期を選ぶと良いでしょう。
地域による収穫時期の違い
収穫時期は地域差も大きく、たとえば梅の産地として有名な和歌山県では青梅の収穫が6月上旬頃から始まり、完熟梅は6月中旬~下旬が中心になります。
一方、北関東など涼しい地域では6月中旬頃から収穫が始まることが多いです。
その年の気温や天候によっても前後するので、お住まいの地域の梅農家さんや直売所の情報を参考にすると、より正確なタイミングがつかめますよ。
収穫が早すぎないか見分けるコツ

「今採ったら早すぎるかな?」と迷ったときは、次のポイントに注目してみてください。
- 果実の色:未熟な梅は濃い緑色、採れ頃の青梅はやや色が淡くなり、完熟梅は黄色~赤みがかった色になります。
- 硬さ:未熟な実はカチカチに硬く、完熟が近づくと果肉に少し弾力が出てきます。
- 丸みと皮の張り:実がふっくらと丸みを帯び、皮がピンと張ってきたら青梅としての採れ頃です。
- 表面の産毛:若い梅の表面には細かい産毛が生えています。これがなくなって表面がツルツル・なめらかになってきたら収穫のサインです。
また、梅の実は収穫まで大きくなり続けるので、一度にすべて収穫せず、育ったものから何回かに分けて収穫するのも「早すぎ」を防ぐ有効な方法です。
なお、完熟梅を狙う場合は、自然に落ちる直前のものを手で優しくもぐか、ネットを張って自然落下した実を拾う方法が一般的です。
収穫が早過ぎた梅はどうしたら良い?

収穫が早過ぎる青梅
まだ熟していない青い梅を収穫してしまった場合でも、上手に活用できます!
ある程度育った青梅であれば、梅酒・梅シロップ・カリカリ梅にそのまま使えるほか、追熟させて梅干しや梅ジュース用の完熟梅に近づけることもできます。
ただし、青い梅には毒性のある成分が含まれているため、生のままかじるのは避けましょう。
次に、青い梅の追熟方法と毒性について詳しくお伝えしていきます。
青い梅の追熟方法
収穫が早すぎた青梅は、常温に置いておくことで自然に黄色く熟していきます。これを「追熟」と言います。追熟を上手に進めるための方法をご紹介します。
常温の冷暗所に並べて置く
基本は、ざるやバットに梅が重ならないように並べ、直射日光の当たらない風通しの良い場所に常温で置いておくだけです。梅同士が重なっていると、そこから水分が出て傷みやすくなるので、必ず隙間をあけて並べましょう。
紙袋に入れる
梅を紙袋にゆったりと入れて口を軽く閉じておくと、梅自身が出すエチレンガス(熟成を促す植物ホルモン)が袋の中にこもり、追熟が進みやすくなります。ビニール袋は蒸れて傷みの原因になるので避けてください。
リンゴやバナナと一緒に保管する
リンゴやバナナはエチレンガスを多く放出する果物です。梅と一緒に紙袋へ入れておくと、追熟をさらに促進してくれます。
新聞紙に包む
梅を新聞紙でふんわり包むと、余分な水分を吸収しつつ適度な湿度を保ちながら追熟が進みます。新聞紙で包んでから紙袋や段ボール箱に入れると、より効果的です。
追熟の注意点と失敗例
追熟は基本的に置いておくだけの簡単な作業ですが、やり方を間違えるとカビが生えたり、実がしわしわになったりすることがあります。次の点に注意しましょう。
- 追熟前に水で洗わない:濡れると傷みやカビの原因になります。汚れが気になる場合は乾いた布で拭く程度にし、洗うのは加工する直前にしましょう。
- 買ってきた袋・ビニール袋のまま放置しない:蒸れて一気に傷みます。必ず袋から出して並べてください。
- 直射日光に当てない:日に当てると傷みやすくなります。室内の冷暗所が適しています。
- 毎日様子をチェックする:追熟の進み方には個体差があります。黄色くなったものから順に使い、熟しすぎる前に加工しましょう。
青梅は何日で食べられる状態になる?
追熟にかかる日数は梅の熟度や室温によって変わりますが、常温で2~5日ほど置くと全体が黄色く色づき、梅干しなどに使える状態になるのが一般的です。
日数はあくまで目安なので、「全体が黄色くなったかどうか」を毎日確認して判断してください。長く置きすぎるとカビや過熟の原因になるため、1週間以上の放置は避けた方が安心です。
青い梅の毒性について
未熟な青い梅には「アミグダリン」というシアン化合物(青酸配糖体)が含まれているため、生のまま食べるのは避けましょう。
アミグダリンは、体内で分解されるとシアン化水素(青酸)を生じるため、大量に摂取すると頭痛・めまい・嘔吐などの中毒症状を引き起こすおそれがあります。
特に注意したいのが種(仁)です。種の中身には果肉の10~20倍ものアミグダリンが含まれると言われているので、種をかじったり砕いて食べたりするのは絶対にやめましょう。小さなお子さんがいるご家庭では、誤って口にしないよう手の届かない場所で保管・追熟させてください。
なお、青梅の毒性については農林水産省のページでも注意喚起されているので、参考にしてみてくださいね。
追熟・加工で青梅の毒はどうなるのか
アミグダリンは、実が熟していく過程で酵素の働きにより分解され、どんどん減少していきます。追熟させて黄色くなった梅であれば、過度に心配する必要はありません。
また、農林水産省によると、青梅に含まれるシアン化合物は梅干しや梅酒などへの加工・熟成の過程で分解されるとされています。塩や砂糖、お酒に漬け込んでじっくり熟成させたり、ジャムのように加熱したりすることで毒性成分はほとんど消失するため、きちんと加工した梅製品は安心して食べられます。
逆に言えば、漬けてすぐの梅シロップや梅酒の実をつまみ食いするのは控え、しっかり熟成期間を置いてから楽しむのがポイントです。
青梅の毒の致死量
アミグダリンには毒性があるものの、青梅1個に含まれる量はごくわずかです。
致死量に達するには、ピンポン玉ほどの青梅を成人で約300個、子どもで約100個も一度に食べる必要があると言われており、通常の食生活では現実的にあり得ない量です。
ただし、致死量に至らなくても数十個単位で食べれば中毒症状が出るおそれはありますし、前述のとおり種(仁)は少量でも危険です。
「うっかり1個かじってしまった」程度で深刻な事態になることはまずありませんが、生の青梅を積極的に食べるのは避け、必ず追熟・加工してから楽しみましょう。
梅がスーパーで売られている旬の時期
スーパーで生の梅が売られる時期は収穫時期と連動しており、新鮮な梅が店頭に出回るのは5月下旬から7月にかけてが一般的です。
5月下旬~6月中旬頃は梅酒・梅シロップ向けの青梅が、6月中旬~7月上旬頃は梅干し向けの完熟梅が中心に並びます。作りたいものに合わせて、出回るタイミングを逃さず購入するのがおすすめです。
店頭で選ぶ際は、傷やシワがなく、ヘタがしっかり付いているものを選ぶと鮮度の良い梅を手に入れられますよ。
まとめ:梅の収穫は早すぎに注意!採れ頃の見極めと追熟がポイント
梅の収穫時期は地域や用途によって異なりますが、一般的には5月下旬から7月にかけてが適期です。早く収穫しすぎると風味が弱く実も小さいため、果実の色・硬さ・丸み・産毛の有無を観察して採れ頃を見極めましょう。
もし早く採りすぎてしまっても、ある程度育った青梅なら梅酒やカリカリ梅に使えるほか、常温の冷暗所に2~5日ほど置いて追熟させれば梅干し用の完熟梅に近づけられます。追熟の際は、洗わない・重ねない・直射日光に当てないことが失敗しないコツです。
熟す前の青梅には毒性成分が含まれるので生食は避け、追熟や加工・熟成を経てから、初夏ならではの梅仕事をぜひ楽しんでみてくださいね。