クリーピングタイムの育て方は、ポイントさえ押さえれば初心者でも難しくありません。ただし、増やし方や冬越し・種まきには少しコツがいります。
この記事では、栽培環境づくりから種まき・地植え・鉢植え、剪定や夏越し・冬越し、株分けや挿し木での増やし方まで、クリーピングタイムの育て方をまとめて解説します。
美しい花とさわやかな香りを楽しめるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。
クリーピングタイムとは|基本情報
クリーピングタイムは、シソ科イブキジャコウソウ属に分類される、地面を這うように広がるほふく性のハーブです。「クリーピング(creeping=這う)」の名のとおり、横へ横へと広がって育ちます。
実は「クリーピングタイム」は特定の一種ではなく、ほふく性をもつタイム数種の総称として流通しています。主に出回っているのは、ヨウシュイブキジャコウソウ(ワイルドタイム/Thymus serpyllum)と、タイム・ロンギカウリス(Thymus longicaulis)の2種です。
香りはありますが、立ち性のコモンタイムに比べると控えめで、料理よりも観賞用・グランドカバーとして使われることが多いハーブです。ハーブティーやポプリ、ハーブバス(入浴)に用いられることもあります。
花期は4月~6月ごろで、小さなピンクや白の花を絨毯のように咲かせます。蜜源植物としても親しまれ、踏むとさわやかな香りが立ちのぼります。
| 分類 | シソ科イブキジャコウソウ属 |
|---|---|
| 学名 | Thymus serpyllum / Thymus longicaulis ほか |
| 別名 | ワイルドタイム、ほふく性タイム |
| 原産地 | ヨーロッパ・北アフリカ・アジア |
| 分類(性質) | 常緑性の多年草(小低木) |
| 草丈 | 約7~15cm(横へ広がる) |
| 花期 | 4月~6月ごろ |
| 花色 | ピンク・白・藤色など |
| 耐寒性/耐暑性 | 耐寒性は強め/高温多湿はやや苦手 |
| 用途 | グランドカバー、花壇の縁取り、寄せ植えなど |
「クリーピングタイムを植えて後悔した」という声もありますが、性質を知っておけば対策できます。デメリットや注意点については、こちらの記事で詳しくまとめています。
クリーピングタイムを植えてはいけない理由とデメリット|後悔しない育て方
クリーピングタイム栽培に適した環境づくり
クリーピングタイムは暑さにも寒さにも比較的強く、環境づくりにそれほど神経質になる必要はありません。
ただし湿気には弱いため、基本は日当たりと風通しのよい場所で育てます。蒸れやすい真夏だけは、半日陰になる場所に置くか、遮光してあげると安心です。
ここからは、用土づくりと水やり・肥料の与え方を順番にご紹介します。
用土づくり
クリーピングタイムは、水はけのよい土壌を好みます。
地植えの場合、土が酸性に傾いていると育ちにくいので、植え付けの前に苦土石灰を混ぜて中和させておきましょう。日本は雨が多く土が酸性に傾きやすいため、このひと手間が効いてきます。
もともと丈夫で繁殖力が強い植物なので、水はけと酸度の2点を整えておけば、用土づくりとしては十分です。
水やりと肥料の与え方
水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。ただし湿気に弱いので、全体としてはやや乾燥気味を心がけるのがコツです。冬場は回数を減らし、土の表面が乾いてから2~3日おいて与える程度で構いません。
なお地植えで根付いたあとは、基本的に降雨だけで足り、特別な水やりはほとんど不要です。
肥料は、植え付け時に粒状の緩効性肥料を土に混ぜ込んでおきます。タイムはもともと肥料を多く必要としないので、追肥は生育期に株の様子を見ながら控えめに与えれば十分です。真夏と真冬は株が弱りやすいため、追肥は避けましょう。
肥料が多すぎると香りが薄れることがあるので、与えすぎには注意してください。
クリーピングタイムの種まき時期と方法
クリーピングタイムの種まき時期は、気候の穏やかな春(4月~6月ごろ)か秋(9月~10月ごろ)が適しています。
種はとても小さく、発芽率もあまり高くないため、まき方にはちょっとした注意が必要です。なお発芽には光が必要な「好光性種子」なので、土を厚くかぶせないのがポイントです。
種まきの手順は以下のとおりです。
- 苗用のポットに種まき用の土を入れ、あらかじめ湿らせておく
- 種を薄くまき、覆土はしないか、ごく薄くかける程度にする
- 種が流れないよう、水やりは底面給水(受け皿から吸わせる)で行う
- 明るい半日陰に置き、発芽適温(おおむね15~25℃)を保つ
- 土を乾かさないよう水やりを続ける
発芽までの目安は2~3週間ほどです。発芽したらしっかり光に当て、日当たりのよい場所で育てます。
本葉が4~5枚になったら間引きをし、7~8枚ほどに育ったら鉢や庭に定植します。
直まきでも発芽は可能ですが、種が軽く風で飛ばされやすいので、ポットにまいてから植え替える方が失敗が少なくおすすめです。
地植え(植え付け)の時期と方法
クリーピングタイムの植え付けの適期は、春(3月~5月)と秋(9月~10月)の2回です。
地植えの手順は以下のとおりです。
- あらかじめ水はけのよい土に整えておく
- 苗を植える場所に穴を掘る
- 根を傷めないようにそっと植え付ける
- 植え付け後にたっぷりと水を与える
- 根付くまでは水やりを続ける
- 株間は20~30cmほどあける(広がるスペースを確保する)
クリーピングタイムは繁殖力が強いので、広がりすぎないよう、定期的な剪定や株分けで調整します(方法は後述します)。
鉢植え・プランターで育てる方法
鉢植えやプランターでも、基本の育て方はこれまでと同じです。ここでは鉢植えならではの注意点をまとめます。
用土は水はけのよいものを選び、市販のハーブ用培養土を使うと手軽です。鉢底には鉢底石を敷き、水はけをしっかり確保してから土を入れましょう。
肥料は植え付け時に粒状の緩効性肥料を混ぜ込み、追肥は生育期に株の様子を見て控えめに与えます。真夏・真冬は避けるのが基本です。
鉢植えは生育旺盛さゆえに根詰まりしやすいので、年に1回、春か秋に株分けや剪定を兼ねて植え替えると元気を保てます。
クリーピングタイムの花が咲く時期・香り・花言葉
クリーピングタイムは、春から初夏にかけて小さなピンクや白の花を咲かせます。
花は球形~半球形にまとまって咲き、株が育つと一面が花の絨毯のようになります。蜜源植物としても親しまれ、葉や茎を踏むとすがすがしい香りが広がります。
花言葉は「勇気」「活動力」。これは、タイムの語源とされるギリシャ語の「thymos(勇気・活力)」に由来すると言われています。
刈り込み(剪定・切り戻し)の方法・時期・目的
クリーピングタイムは高温多湿による蒸れが苦手です。刈り込み(剪定・切り戻し)は、株の健康と見た目の美しさを保つための大切な作業です。
花後の刈り込み
花が咲き終わったら、株元から思いきって刈り込みます。風通しがよくなり、株が引き締まって元気を取り戻します。目安は株元から5cmほどの高さです。
梅雨前の刈り込み
蒸れやすい梅雨に入る前にも、株元の混み合った部分を整理しておくと、夏越しがぐっと楽になります。
冬前の切り戻し
冬を迎える前に地際で切り戻しておくと、春に芽がそろい、きれいに花が咲きやすくなります。切り戻した枝は処分して構いません。
夏越しの注意点
クリーピングタイムは夏の高温多湿に弱く、特に梅雨どきは蒸れて傷みやすくなります。夏を無事に越すために、次の点に気をつけましょう。
強い直射日光を避ける
真夏の強い日差しは葉焼けや消耗の原因になります。半日陰に移したり、遮光ネットで日差しをやわらげたりすると安心です。
水はけのよい土を使う
水はけの悪い土では根腐れを起こしやすくなります。ハーブ用培養土や赤玉土などを活用して、水はけを整えましょう。
水やりは乾燥気味に
乾燥にもやや弱いので土が乾いたら与えますが、与えすぎは禁物です。土の表面が乾いてから2~3日おく程度がちょうどよい目安です。
蒸れを防ぐ
湿気がこもるとカビや病気の原因になります。風通しのよい場所に置き、株元の枯れ葉や雑草はこまめに取り除きましょう。刈り込みで株をすっきりさせるのも効果的です。
耐寒性と冬越しの方法
クリーピングタイムは、寒さには比較的強いハーブです。
関東以南の暖かい地域では、特別な防寒対策はほとんど必要ありません。地上部が枯れても根は生きていて、春になると再び芽吹きます。
ただし降雪地域や霜の降りる寒冷地では、地上部が凍み枯れすることがあります。寒さの厳しい地域では、霜や冷たい風を防げる軒下や、鉢植えなら室内など、風当たりの少ない場所で管理すると安心です。
冬の間の水やりは控えめにします。土が乾いたら少量を与える程度で十分で、与えすぎは根腐れにつながるので注意しましょう。
クリーピングタイムの増やし方
クリーピングタイムは、種まきのほかに「株分け」「挿し木」でも増やせます。ここでは、株分けと挿し木のやり方と適期をご紹介します。
株分けで増やす方法と時期
株分けの適期は、4月~5月、または9月~10月です。
手順は以下のとおりです。
- 増やしたい株を土から掘り起こす
- 根についた土を軽く落とす
- 株を2~3つに分ける
- 根が絡んでいる場合はナイフやハサミで切り分ける
- 分けた株を別の場所に植え付ける
- 植え付け後にたっぷりと水を与える
- 根付くまでは水やりを続ける
挿し木で増やす方法と時期
挿し木の適期は、新芽が伸びる5月ごろ、または生育期の終わりの9月ごろです。
手順は以下のとおりです。
- 茎を10cmほどに切り、下部の葉を取り除く
- 水に1~2時間ほど浸けて水揚げする
- 水または清潔な土に挿す
- 水やりは土が乾いたらたっぷりと与える
- 発根するまでは明るい半日陰で管理する
収穫の時期と方法
クリーピングタイムの収穫はとても簡単です。
- 必要な分だけ茎ごと切り取る
- 水洗いして水気を切る
使うときは葉を茎からはずします。使い切れない分は乾燥させて保存しておくと便利です。香りを楽しみたいときは、開花前の若い茎葉を摘むのがおすすめです。
クリーピングタイムの育て方に関するQ&A
最後に、クリーピングタイムの育て方でよくある疑問にお答えします。
- 種はホームセンターで買える?
- 増えない理由には何がある?
- 枯れたらどうすれば良い?
- クリーピングタイムは常緑ですか?
- クリーピングタイムは食べられますか?
種はホームセンターで買える?
クリーピングタイムの種は、ホームセンターの園芸コーナーで扱われていることがあります。ただし店舗によっては取り扱いがない場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。
見つからない場合はネット通販でも購入できます。さまざまな品種や価格の種が選べますが、発送に時間がかかったり、発芽率が保証されないこともあるので、その点は理解したうえで利用しましょう。なお苗の方が手軽に始められるので、初心者には苗からのスタートもおすすめです。
増えない理由には何がある?
クリーピングタイムが思うように増えない場合、次のような原因が考えられます。
- 土が粘土質で水はけが悪く、根腐れを起こしている
- 日当たりが悪く、茎が立ち上がってうまく広がらない
- 肥料が多すぎる、または不足している
- 鉢植えで根詰まりし、栄養が行き渡っていない
- 病害虫によって生育が妨げられている
これまで紹介した育て方と照らし合わせて見直すと、原因が見つかることが多いです。
枯れたらどうすれば良い?
クリーピングタイムが枯れると、茶色くカサカサした状態になります。
ただし株元から新しい芽が出ている場合は、枯れた部分を切り取り、株分けなどで再生を図るとよいでしょう。
また冬場は枯れたように見えても、根が生きていて暖かくなると再び芽吹くことがよくあります。寒さで枯れたように見えるだけのときは、春を待てば緑がよみがえります。
クリーピングタイムは常緑ですか?
クリーピングタイムは常緑性の多年草です。
ただし降雪地域や寒さの厳しい地域では、冬に地上部が枯れることがあります。その場合も根は生きていて、春になると新しい芽を出し、再び緑の姿を取り戻します。
クリーピングタイムは食べられますか?
クリーピングタイム(ワイルドタイム)は食用にも利用できます。ハーブティーや料理の香りづけに使うこともできますが、立ち性のコモンタイムに比べると香りは控えめです。そのため、食用というよりはグランドカバーや観賞用として育てられることが多いハーブです。
まとめ:クリーピングタイムの育て方と増やし方のポイント
クリーピングタイムの育て方を、種まき・植え付けから増やし方・冬越しまでご紹介しました。
ポイントは、日当たりと風通しのよい場所で、水はけのよい土に植えること。乾燥気味に育て、刈り込みで風通しを保てば、株が引き締まって元気に広がります。
夏の高温多湿と冬の寒さには注意が必要ですが、半日陰への移動や防寒のひと工夫で対応できます。生育旺盛で増やしやすいので、株分け・挿し木・種まきで気軽に株を増やせるのも魅力です。
花言葉が「勇気」「活動力」であるように、元気に花を咲かせてくれるクリーピングタイム。この記事を参考に、ぜひ育ててみてくださいね。