ステビアは、南米原産のキク科の多年草で、葉に砂糖の200〜300倍ともいわれる甘味成分(ステビオール配糖体)を含むハーブです。自宅で育てた葉を、自家製の甘味料やハーブティーとして楽しめるのが魅力です。
ただし熱帯・亜熱帯生まれで寒さに弱く、日本では霜に当たると枯れてしまうため、育てにくいと感じている方も多いかもしれません。
しかし、ポイントを押さえて冬越しや室内管理をすれば長く育てられますし、挿し木や水挿しで簡単に株を増やすこともできます。
この記事では、ステビアの育て方を、種まき・苗の植え付けから、冬越し・室内栽培、挿し木による増やし方まで網羅的にお伝えします。これから育ててみたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ステビアとは
ステビア(学名:Stevia rebaudiana)は、キク科ステビア属の多年草で、パラグアイなど南米原産のハーブです。別名をアマハステビアともいいます。
葉や茎に含まれる甘味成分「ステビオール配糖体(ステビオシドやレバウディオサイドなど)」が、砂糖の200〜300倍ともいわれる強い甘味を持つのが最大の特徴です。低カロリーの甘味料の原料として、世界中で利用されています。
寒さに弱い性質があるため、日本では冬に地上部が枯れることがありますが、根が残っていれば春に再び芽吹く宿根性の多年草です。夏から秋にかけては、白い小さな花を穂状に咲かせます。
ステビアの基本情報
| 科名・属名 | キク科ステビア属 |
| 学名 | Stevia rebaudiana |
| 別名 | アマハステビア |
| 原産地 | パラグアイなど南米 |
| 分類 | 多年草(宿根草) |
| 草丈 | 50〜100cm程度 |
| 開花期 | 9〜11月ごろ |
| 日当たり | 日なたを好む |
| 耐寒性・耐暑性 | 寒さに弱い/真夏の高温もやや苦手 |
ステビアの栽培カレンダー
ステビアの主な作業時期を一覧にまとめました。地域の気候によって前後しますので、目安として参考にしてください。
| 種まき | 4月下旬〜5月ごろ |
| 苗の植え付け | 5〜6月ごろ |
| 摘心・剪定 | 生育期(春〜秋) |
| 挿し木・水挿し | 6月ごろ |
| 開花 | 9〜11月ごろ |
| 収穫 | 7〜11月ごろ(生育期は随時) |
| 冬越し準備 | 秋〜初冬 |
ステビアは発芽に高めの温度を必要とするため、種まきは十分に暖かくなってから行うのがポイントです。詳しくは次の項目以降で解説します。
ステビア栽培に適した環境
ステビアを元気に育てるには、置き場所と用土が大切です。
置き場所
ステビアは日光を好むので、太陽光がよく当たる場所で育てます。日当たりが良いほど、しっかりとした株に育ちます。
ただし暑さには注意が必要で、30℃を超えると生育が弱まることがあります。真夏は風通しの良い場所に置く、または半日陰に移すなどして、株への負担を減らしましょう。
また寒さには弱いため、霜や寒風の当たる場所は避けます。鉢植えなら、寒くなる前に室内へ移動できるようにしておくと安心です。
用土
ステビアは適度な湿り気のある土を好み、極端な乾燥は苦手です。一方で、過湿になると根が傷んでしまうため、水はけの良さも欠かせません。
そのため、保水性と排水性のバランスが取れた土を用意するとよいでしょう。配合の一例は次のとおりです。
- 赤玉土(小粒〜中粒)6:腐葉土4の割合で混ぜる。
- 全体をよく攪拌しながら混ぜ込む。
- 1週間ほど置いて土を落ち着かせてから使う。
赤玉土は水分を保ちつつ余分な水を排出する働きがあり、腐葉土は有機物を補って土を豊かにします。この2つを組み合わせることで、ステビアの好む「水はけが良く、ほどよく肥えた土」をつくれます。
鉢植えの場合は、鉢底に鉢底石を敷いて排水性を高めておくと、根腐れの予防になります。
水やりと肥料
水やりは、土の表面が乾き始めたら与えるのが基本です。過湿は根腐れの原因になりますが、乾かしすぎても葉がしおれてしまうため、極端な乾湿の差をつくらないよう意識します。特に夏場は乾きやすいので、水切れに注意してください。冬は生育が緩やかになるので、水やりは控えめにします。
肥料は与えすぎないことが大切です。成長期である春から夏にかけて、適量を月に一度程度与え、秋から冬にかけては量を減らします。有機肥料や堆肥を使うと、土壌の状態を保ちやすくなります。生育が停滞していると感じたら軽く追肥をしますが、与えすぎはかえって逆効果になるので注意しましょう。
種まきの時期と方法
ステビアの種まきは、十分に暖かくなる4月下旬〜5月ごろが適期です。発芽に必要な温度が22℃前後とやや高いため、早まきしすぎても発芽しにくく、気温が安定してからまく方が確実です。秋まきも可能ですが、幼い苗は寒さに弱く冬越しが難しいため、初心者には春まきがおすすめです。
種まきの手順は次のとおりです。
- 種を水に浸して吸水させておく。
- 湿らせた土に種をまき、ごく軽く覆土する。
- 発芽までは乾かさないように、日当たりと温度(22℃前後)を保って管理する。
- 発芽後は混み合ったところを間引き、本葉が4〜5枚になったら小さな鉢に1本ずつ植え替える。
ただし、ステビアの種は発芽率があまり高くありません(環境によりますが、おおむね25〜50%程度といわれます)。確実に育てたい場合は、苗を購入するか、甘味の強い親株から挿し木で増やす方が簡単で失敗が少なくなります。
苗の植え付け(地植え・鉢植え)
苗から育てる場合の植え付け適期は、5〜6月ごろです。日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。
植え付けのポイントは次のとおりです。
- 苗の根についた土は基本的に崩さず、そのまま植え付けると根を傷めにくい。
- ただし、ポットの中で根がびっしり回って詰まっている場合は、軽くほぐしてから植えると、その後の生育が良くなる。
- 地植えの株間は30〜40cmほどあける。
- 鉢植えは4〜5号(直径12〜15cm)に1株を目安にし、成長に合わせて大きな鉢へ植え替える。草丈が大きくなるため、ゆとりのある容器を選ぶとよい。
なお、ステビアは種から育てると個体差が大きく、甘味の強い優秀な株もあれば、苦みのある株もできます。甘味成分の含有量には品種差・個体差があるため、地植えにする場合は葉をかじって甘い株を選び、その良質な株を挿し木で増やしていくと、安定して甘いステビアを育てられます。
摘心・剪定
ステビアは、摘心と剪定を上手に行うことで、枝数や葉の収穫量を増やすことができます。
草丈が20cmほどに伸びたら、茎の先端の芽を摘む「摘心」を行いましょう。先端を摘むことで、茎のわきから新しい芽が伸びて枝分かれし、株がこんもりと茂ります。摘心は株全体が均等になるように行うのがコツです。
また、ステビアは夏から秋にかけて白い小さな花を咲かせますが、葉を収穫したい場合、花は株の養分を消費して葉の成長を妨げる要因になります。葉の収穫を優先するなら、花芽が見えたら早めに摘み取り、株のエネルギーを葉に向けてあげましょう。
収穫を兼ねて定期的に剪定し、混み合った茎を間引いて樹形を整えることも大切です。風通しが良くなり、株の蒸れや病害虫の予防にもつながります。
収穫と保存
ステビアは生育旺盛で株がよく茂るため、草丈が20cm以上に伸びる7〜11月ごろを中心に、生育期は随時葉を収穫して利用できます。
保存目的でまとめて収穫したい場合は、収穫の時期に注目してみてください。甘味成分のステビオシドが一年のうちで最も高まるのは花が終わったあと(10月下旬〜11月上旬ごろ)とされるため、この時期に収穫すると効率的です。
収穫は株元から茎ごと刈り取り、束にして風通しの良い日陰でよく乾燥させます。しっかり乾いたら密閉容器に入れて保存しましょう。茎ごと収穫すると、樹形を整える剪定も兼ねられて効率的です。
冬越しの方法
ステビアは寒さに弱いものの、霜や寒風に当てなければ0℃くらいまでは耐えられます。冬に地上部が枯れても根が生きていれば、春になると再び新芽を出します。
冬越しのポイントは次のとおりです。
- 鉢植えは、寒くなる前に室内や温室など暖かい場所へ移動させる。
- 地植えで霜や凍結のおそれがある場合は、株元をワラ・腐葉土・ピートモスなどで覆うマルチングで防寒する。
- 冬は休眠期に入るため、水やりと肥料は控えめにする。
温暖な地域では地植えのまま冬越しできることもありますが、それ以外の地域では、鉢植えにして室内へ取り込むか、しっかり霜よけをするのが安心です。無事に冬を越せれば、春の芽吹きの時期に合わせて剪定や植え替えを行いましょう。
室内での育て方
ステビアは寒さに弱いため、冬の管理がしやすい室内栽培もおすすめです。鉢植えやプランターで育て、寒い時期は室内に取り込むスタイルなら、寒冷地でも育てやすくなります。
室内栽培のポイントは次のとおりです。
- 日光がやわらかく差し込む明るい場所に置く。日照が不足すると、ひょろひょろと徒長して甘味の乗りも悪くなりやすい。
- エアコンの風が直接長く当たる場所は避ける。葉が乾燥して枯れ込む原因になる。
- 夏場の室内は高温になりやすいため、風通しを確保し、必要に応じて涼しい場所へ移す。
基本的な水やり・肥料・用土は地植えや鉢植えと同じ考え方でかまいません。明るく風通しの良い環境を整えることが、甘くやわらかい葉に育てるコツです。
ステビアの増やし方(挿し木・水挿し)
ステビアは種からも増やせますが、発芽率が低く個体差も大きいため、挿し木や水挿しで増やすのが一般的です。親株の性質をそのまま受け継ぐので、甘い株を選んで増やせば、同じ品質のステビアを安定して殖やせます。
適期は発根しやすい初夏(6月ごろ)です。
挿し木で増やす方法
挿し木の手順は次のとおりです。
- 生き生きとした充実した茎を選ぶ。
- わき芽の上を1cmほど残して切る。
- 下葉を落とし、節の下を2cmほどのところで切る。
- 1時間ほど水に挿して吸水させる。
- 湿らせた挿し床に穴を開け、垂直に挿す。
根が出るまでは乾かさないよう、半日陰で管理します。3週間ほどしてわき芽が伸びてくれば、発根のサインです。根を傷つけないようにそっと掘り上げ、鉢上げを行います。
水挿しで増やす方法
水挿しで発根させてから植え付けると、より失敗が少なくなります。
- 挿し木の手順1〜3と同じように茎を準備する。
- コップや一輪挿しなどに水を入れ、茎を挿す。
- 日当たりと風通しの良い場所に置く。
- 水は数日おきに取り替えて清潔に保つ。
- 2週間ほどで発根するので、根が伸びたのを確認する。
発根を確認できたら鉢上げします。挿し木・水挿しともに難しい作業ではないので、一株から何株にも増やせます。
ステビアの育て方に関するQ&A
ステビアの育て方でよくある疑問をまとめました。
- 水耕栽培でも育てられる?
- 寄せ植えで相性の良いハーブは?
- 枯れる原因は?
- かかりやすい病害虫と対策は?
- 花は食べられる?
- 栽培や利用に危険はない?
それぞれ回答していきます。
水耕栽培でも育てられる?
ステビアは水耕栽培でも育てられます。種から始める場合は、湿らせたスポンジに種をまいて発芽を待ちますが、発芽率が低めなので少し多めにまいておくと安心です。
おおまかな手順は次のとおりです。
- 水耕栽培キット、ネットポット、水耕栽培液、発泡スチロールなどを用意する。
- ネットポットに苗を植え、根が水に浸かるように調整する。
- 発泡スチロールに穴を開けてネットポットをセットし、水耕栽培液を入れた容器に置く。
- 水位とpHを定期的にチェックし、必要に応じて補充・調整する。
- 葉が十分に育ったら収穫する。
水は2〜3日に1回を目安に交換し、清潔な状態を保つのがポイントです。
寄せ植えで相性の良いハーブは?
ステビアは、キッチン周りで寄せ植えにしておくと、摘みたてを手軽に楽しめます。日当たりを好む点が共通するハーブと組み合わせるとよいでしょう。
| 相性の良いハーブ | 補足 |
| ミント | 爽やかな香りと甘みを一緒に楽しめます。日当たりを好む点はステビアと共通ですが、水やりはやや少なめでよく、繁殖力が強いので同じ鉢では広がりすぎに注意します。草丈が低めなので前方に配置するとまとまります。 |
| ローズマリー | 豊かな香りが楽しめます。日当たりを好み、乾燥に強いため水やりは控えめでよいハーブです。草丈が高くなるので、寄せ植えでは後方に配置するとバランスが取れます。 |
| レモンバームなど | 同じく日なたを好むハーブで、爽やかな香りが甘みと好相性です。生育が旺盛なので、間隔をとって風通しを確保すると育てやすくなります。 |
寄せ植えの際は、日当たりの好みや草丈、水やりの頻度が近いものを選ぶと管理しやすくなります。
枯れる原因は?
ステビアが枯れてしまう主な原因は次のとおりです。
| 枯れる主な原因 | 補足 |
| 水切れ | 乾燥が続くと葉がしおれて枯れてしまいます。特に夏は水切れに注意します。 |
| 過湿・根腐れ | 水の与えすぎや排水不良で根が傷み、葉が黄色くなって枯れることがあります。 |
| 寒さ | 寒さに弱く、霜や寒風に当たると枯れてしまいます。冬は防寒・室内管理が必要です。 |
| 病害虫 | アブラムシやハダニなどの害虫で株が弱ることがあります。早めの発見と対処が大切です。 |
いずれも、適切な水やりと冬の防寒、こまめな観察といった基本的な管理で防ぐことができます。
かかりやすい病害虫と対策は?
ステビアは比較的病害虫に強いハーブですが、環境によっては発生することがあります。
病気としては、根腐れや灰色カビ病に注意します。根腐れは水の与えすぎや排水不良が原因です。灰色カビ病は、湿度が高く風通しの悪い環境で、茎や葉に灰色のカビが発生します。対策は、水やりを適度にして土が乾いてから与えること、鉢底の排水を良くして風通しの良い場所に置くことです。
害虫としては、アブラムシやハダニがつきやすいです。アブラムシは茎や葉裏に集まって吸汁し、ハダニは乾燥した環境で発生して葉に白い斑点を作ります。対策としては、こまめに葉をチェックして見つけ次第取り除くこと、葉水を与えて適度な湿度を保つことが有効です。いずれも風通しを良くしておくことが予防につながります。
花は食べられる?
ステビアの花は食べられます。白い小さな花が穂状に集まって9〜11月ごろに咲き、葉と同じく甘味があります。
そのまま生でサラダやデザートに添えたり、乾燥させてハーブティーに加えたりして楽しめます。色や香りが控えめなので、ほかの食材と合わせやすいのも特長です。ただし甘味が強いので、使うのは少量で十分です。摂取量には気をつけて楽しみましょう。
栽培や利用に危険はない?
ステビアは栽培そのものに危険はなく、家庭で安心して育てられるハーブです。
利用面についても、日本では古くから食品添加物として使われてきました。安全性は国内外の機関で長年評価されており、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)やEFSA(欧州食品安全機関)、FDA(米国食品医薬品局)などが安全性を確認しています。JECFAは2008年にステビオール配糖体を評価し、ステビオールとして一日摂取許容量(ADI)を0〜4mg/kg体重/日と設定しました。このADI(ステビオール当量で体重1kgあたり4mg/日)の範囲内であれば安全とされており、通常の食生活でこの上限に達することは考えにくいとされています。
このように適量の範囲では問題ないとされていますが、何事も過剰摂取は避けるのが基本です。また、血圧や血糖に関わる薬を服用している方は、念のため事前に医師や薬剤師へ相談すると安心です。利用上の注意点について詳しくは、ステビアの危険性のページもあわせてご覧ください。
なお、ステビアの抽出物は、土壌改良や農作物の品質向上を目的とした農業利用(いわゆるステビア農法)に用いられることもあり、いちごやトマトなどの栽培で活用される例が知られています。
まとめ:ステビアの育て方について
ステビアの育て方についてお伝えしました。
ステビアは寒さに弱く、日本では冬の管理がいちばんのポイントになります。鉢植えにして室内や温室へ移動させるか、地植えならマルチングで霜よけをすれば、宿根性の多年草として翌春また芽吹いてくれます(暖かい地域では地植えのまま冬越しできることもあります)。
この冬越しさえ押さえれば、栽培そのものはそれほど難しくありません。日当たりと水はけの良い環境を整え、摘心・剪定で株を茂らせれば、たくさんの葉を収穫できます。
増やすときは、甘い株を選んで初夏に挿し木や水挿しをするのがおすすめです。上手に育てて、自家製の甘味料づくりを楽しんでみてくださいね。