春になると、いちごのような赤い花を咲かせるストロベリーキャンドル。クローバーの仲間で、別名クリムゾンクローバーとも呼ばれます。
一見難しそうに見えますが、育て方はとても簡単で、種まきから開花まで初心者でも失敗しにくい草花です。
ストロベリーキャンドルは耐寒性が強く暑さに弱いため、日本では一年草として扱われています。ただし、夏越しできれば翌年も同じ場所で花を咲かせることができ、こぼれ種で増やすことも可能です。
この記事では、ストロベリーキャンドルの育て方について、種まきの時期や方法、日常の管理、夏越し・冬越し、種採りのコツまで詳しくお伝えします。
ストロベリーキャンドルの基本情報
育て方に入る前に、まずはストロベリーキャンドルがどんな植物なのか、基本的な特徴を確認しておきましょう。性質を知っておくと、栽培のポイントも理解しやすくなります。
| 学名 | Trifolium incarnatum |
| 科・属 | マメ科シャジクソウ属 |
| 和名・別名 | ベニバナツメクサ(紅花詰草)、クリムゾンクローバー、ストロベリートーチ |
| 原産地 | ヨーロッパ~西アジア |
| 草丈 | 20cm~60cm程度 |
| 開花期 | 4月~6月 |
| 性質 | 本来は多年草だが、暑さに弱いため日本では一年草扱い |
ストロベリーキャンドルはマメ科シャジクソウ属の植物で、シロツメクサ(クローバー)の仲間です。春になると茎をまっすぐ伸ばし、その先に赤いトーチ(炎)のような花を咲かせます。緑肥植物としても利用され、家庭では観賞用や切り花として親しまれています。
ストロベリーキャンドルを育てるのに適した環境づくり
ストロベリーキャンドルは、マメ科特有の根粒菌が窒素を供給してくれるため、肥料があまり必要ない丈夫な植物です。日当たりと風通しのよい場所であれば、基本的に問題なく育ちます。ここでは、用土・水やり・肥料の基本を確認しておきましょう。
用土づくり
水はけのよい用土を使用します。鉢植えの場合は、市販の草花用培養土が手軽です。自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト1の割合で混ぜるとよいでしょう。
なお、元肥が多く入った培養土を使うと草姿が乱れることがあるため、肥料分の少ない用土を選ぶのがおすすめです。
水やり
苗のうちや植え付け直後は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。一度根づくとある程度の乾燥に耐えるので、その後は乾かし気味に管理します。
蒸れに弱いため、水の与えすぎには注意しましょう。鉢植えの場合は、鉢皿に溜まった水をこまめに捨てるようにします。地植えの場合は、根づいた後の水やりはほとんど必要ありません。
肥料
マメ科の植物は根粒菌の働きで窒素分を補えるため、肥料はあまり必要ありません。下葉が黄色く変色した場合は、薄い液肥を与えましょう。
肥料を与えすぎるとアブラムシが発生しやすくなるため、控えめにするのがポイントです。
種まきの時期と方法
ストロベリーキャンドルは種から育てるのが基本です。発芽温度は20℃~25℃で、種まきの時期は地域によって異なります。
種まきの時期
一般的な地域では、夏の暑さが落ち着いた9月~10月頃に種まきをします。この場合、翌春に開花します。北海道などの寒冷地では、夏の暑さの影響を受けにくいため、8月~9月頃に種まきをし、翌春~初夏が開花時期になります。
なお、ストロベリーキャンドルはある程度の寒さに当たらないと花芽をつけない性質があります。そのため、春にまくと花が咲かず、葉ばかりが茂ることがあります。花を楽しみたい場合は、秋まきにするのが基本です。
種まきの手順
種まきの手順は以下のとおりです。
- 育苗箱やポリポットに水はけのよい用土を入れる。
- 用土を湿らせる。
- 種が重ならないようにまき、5mm程度覆土する。
- 種と用土が密着するように指で軽く押さえる。
- 霧吹きで水やりをする。
約3~5日で発芽します。発芽までは用土を乾燥させないよう管理し、ビニールなどで覆って湿度を保つと発芽率が高まります。発芽したら覆いを外し、日当たりのよい場所に移しましょう。
直播きが適している理由
ストロベリーキャンドルは、ポット播きや育苗箱播きも可能ですが、直播き(じかまき)が適しているとされています。その主な理由は次の3つです。
- 根が細く移植を嫌う
- 寒さに強く秋まきで発芽しやすい
- こぼれ種で自然に増える
それぞれ補足します。
1.根が細く移植を嫌う
ストロベリーキャンドルは根が細く、移植すると根が傷つきやすい植物です。そのため、移植の必要がない直播きの方が根付きやすくなります。ポットや育苗箱にまく場合は、根が回りきる前の早めの定植を心がけましょう。
2.寒さに強く秋まきで発芽しやすい
ストロベリーキャンドルは寒さに強く、秋にまいておくと冬を越して春に生育します。前述のとおり、寒さに当たることで花芽形成が促されるため、秋から直播きするのがおすすめです。
3.こぼれ種で自然に増える
ストロベリーキャンドルは開花後に種を落とします。その種が自然に発芽することで、翌年も同じ場所で花を楽しめます。直播きにすると、こぼれ種で自然に増えやすくなります。
間引きの方法
発芽後は、生育に合わせて間引きを行い、株間を確保します。混み合ったまま育てると、風通しが悪くなり蒸れや病害虫の原因になります。
| 時期 | 双葉が開いた頃と、本葉が4~5枚程度になった頃に間引きをします。 |
| 方法 | 勢いのある株を残し、成長の遅い株や密集した株を抜きます。根が傷つきやすいため、株元の土を少しほぐすと根が切れにくくなります。 |
| 間隔 | 株と株の間は約20cm~30cm空けます(鉢植えなら1鉢1株が目安)。 |
地植え・鉢植えで育てる方法
ストロベリーキャンドルは、地植えでも鉢植え・プランターでも育てられます。どちらの場合も、日当たりと風通しのよい場所を選ぶことが大切です。
地植えの場合
ストロベリーキャンドルは暑さに弱く、気温が高いと上手に育たなかったり枯れたりします。そのため、暑さがやわらぐ9月~10月に種まき・植え付けを行い、夏が本格化する前に開花が終わるように育てるのがポイントです。
地植えは横に広がる性質があるため、広めのスペースを確保しましょう。多湿が苦手なので、ジメジメした場所は避け、水はけのよい場所を選びます。
鉢植え・プランターの場合
鉢植えやプランターでは、水はけのよい用土を使い、株間を15cm~20cmほど空けて植え付けます。
水やりは土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと行いますが、蒸れに弱いので与えすぎは禁物です。花・葉・茎に直接水がかからないようにし、鉢皿に溜まった水はこまめに捨てましょう。日当たりが不足すると花付きが悪くなるため、よく日の当たる場所に置きます。
植え替えについて
ストロベリーキャンドルは日本では一年草扱いのため、基本的に植え替えは必要ありません。種まきや苗の植え付け後は、そのまま育てて開花させます。
ただし、ストロベリーキャンドルは根が細く移植を嫌う性質があります。根付いた後に植え替えると、繊細な根が傷んで花が咲かなくなることがあります。やむを得ず植え替える場合は、根が回りきる前の植え付け直後か、花が終わった後に行いましょう。その際は、株より一回り大きい鉢を選び、根を崩さないように注意します。
花が咲く時期と香り・花言葉
ストロベリーキャンドルの開花期は春で、4月~6月にかけて赤い花を咲かせます。花茎をまっすぐ伸ばし、その先にキャンドルの炎のような形の赤い花穂をつけます。
花の特徴と香り
クローバーの仲間ですが、シロツメクサのような甘い香りはほとんどありません。そのため香りを楽しむ植物ではありませんが、鮮やかな赤い花色を活かして、切り花や寄せ植え、ドライフラワーとして楽しめます。
ストロベリーキャンドルの花言葉
ストロベリーキャンドルには、次の5つの花言葉があります。いずれも特徴的な花姿に由来するものです。
| 胸に火を灯す | 紅色の花穂がキャンドルの炎のように見えることから、炎をイメージしてつけられた花言葉です。 |
| 煌めく愛 | 炎のような花姿と花色から生まれた花言葉。花が風に揺れる様子が、情熱的な印象を与えます。 |
| 素朴な愛らしさ | 園芸品種のような華やかさよりも、野の花に近い素朴な草姿をあらわした花言葉です。 |
| 魅惑 | 鮮やかで目を引く赤い花色にちなんだ花言葉。赤は情熱を象徴する色でもあります。 |
| 美しい心 | 肥料をあまり必要とせず丈夫に育つ性質から生まれたとされる花言葉です。 |
剪定・切り戻しの方法と時期
切り戻しは、花が終わってから夏にかけて行います。花が終わる時期は栽培環境によって異なりますが、一般的には5月~6月頃が目安です。
切り戻しの目的は、枯れた花穂や茎を取り除いて株の見栄えを整えることです。なお、種を採りたい場合は花穂を残しておく必要があるため、切り戻しのタイミングは目的に合わせて判断しましょう。
- 枯れた花穂や茎を株元から切り取る。
- 残った葉や茎を半分くらいに切り戻す。
切り戻し後は、土が乾いたら水やりをし、必要に応じて薄い液肥を少量与えます。
栽培で気をつけたい病害虫
ストロベリーキャンドルは比較的丈夫で病害虫に強い植物ですが、まったくかからないわけではありません。代表的な病害虫と対策を知っておきましょう。
| アブラムシ | 葉や茎の先端に集まって吸汁し、生育を妨げます。ウイルス病を媒介することもあります。見つけたら早めに取り除くか、薬剤で対処します。肥料の与えすぎでも発生しやすくなります。 |
| ナメクジ・カタツムリ | 葉や茎を 食害して穴を空けます。雨上がりや湿気の多い時期に注意が必要です。早朝や夕方に駆除するか、誘引型の駆除剤を利用すると効果的です。 |
| 立枯病 | 土壌中の菌が根から侵入し、株を枯らす病気です。高温多湿期に発生しやすく、一度発生すると治療が難しいため、感染株は早めに処分します。株間を広げ、水やりを控えめにすることが予防になります。 |
病害虫の多くは高温多湿期に発生しやすいため、風通しのよい環境づくりが何よりの予防になります。
夏越しの方法
ストロベリーキャンドルは本来多年草ですが、暑さに弱いため日本では夏に枯れることが多く、一年草として扱われています。高温多湿の環境に長くさらされると、葉が黄色くなったり茎が倒れたりして枯れてしまいます。涼しい地域や工夫次第では夏越しも可能なので、対策を知っておきましょう。
夏越しのポイント
暑さに弱いストロベリーキャンドルを夏越しさせるには、次の対策が有効です。
- 真夏の直射日光を避け、午前中だけ日が当たる半日陰や風通しのよい涼しい場所に移す。
- 株間を空けたり込み合った葉茎を整理したりして、風通しをよくする。
- 水やりは控えめにする。多湿は根腐れや病気の原因になるため、土の表面が乾いてから与える。
鉢植えであれば、夏の間だけ涼しい場所に移動できるため、地植えより夏越しさせやすくなります。
夏越しが難しい場合の考え方
暑さの厳しい地域では、無理に夏越しを目指すよりも、一年草として割り切り、花後に種を採って秋にまき直す方法が確実です。こうすれば、毎年安定して花を楽しむことができます。
耐寒性と冬越しの方法
ストロベリーキャンドルは耐寒性が高く、冬越しは比較的容易です。ただし、強い霜や厳しい寒さには注意が必要です。-2℃を下回るような環境では傷むことがあるため、寒冷地では対策をしておくと安心です。
冬越しのポイント
冬越しのポイントは次の3つです。
- 霜よけをする:霜が降りる地域では、ビニールや不織布など軽い素材で霜よけをします。夜間にかけ、日中は外して風通しを確保します。
- 寒さが厳しい場合は室内へ:強い冷え込みが予想される場合は、日当たりのよい窓際などに移動します。暖房で乾燥する場合は加湿にも気を配ります。
- 土を凍結・乾燥させすぎない:冬は水やりを控えめにしつつ、土が完全に乾ききらないよう管理します。
ストロベリーキャンドルは花を咲かせるためにある程度の寒さが必要なため、極端に寒い地域でなければ、屋外で冬の寒さに当てて育てるのが基本です。
ストロベリーキャンドルの増やし方
ストロベリーキャンドルの増やし方は、種まきが基本です。挿し木・挿し芽・株分けといった方法は適しません。
ただし、種は簡単に採取できるため、上手に育てて種を採り、まき直すことでどんどん増やせます。花後に花穂を残しておけば、こぼれ種で自然に増えることもあります。次に、種採りの方法を見ていきましょう。
種採りの方法
種採りに適した時期は、開花後の6月~7月頃です。花が終わった後も摘み取らずに残しておくと、花穂が下から黒ずみ、茶色く熟してきます。
種採りの手順は以下のとおりです。
- 花穂が茶色く熟したら、花茎ごと切り取る。
- 切り取った花穂を、風通しのよい日陰で乾燥させる。
- 乾いた花穂を手でこすり、種を取り出す。
- 種は紙袋などに入れ、種まきの時期まで冷暗所で保管する。
乾燥は、束ねて吊るすか、新聞紙などに包んで平らに置く方法があります。期間は気温や湿度によりますが、約1~2週間が目安です。種は小さいので、保管時は湿気や虫害に注意してください。
ストロベリーキャンドルの育て方Q&A
ここでは、ストロベリーキャンドルの育て方に関するよくある質問にお答えします。
多年草なのか?
原産地では多年草として育ちますが、日本では夏の暑さに弱いため、一年草として扱われることが多いです。夏越しに気をつければ、多年草として翌年も楽しめる場合があります。
緑肥に使える?
ストロベリーキャンドルは緑肥植物としても優れています。マメ科の植物は根粒菌の働きで窒素分を補えるため、花後の株を土にすき込むと、次に育てる作物に窒素分を供給し、土壌改良に役立ちます。
外来種なの?
ヨーロッパから西アジアにかけて分布する植物で、明治時代に牧草として日本に導入された外来種です。ただし、環境省の侵略的外来種(生態系被害防止外来種)リストには含まれていません。こぼれ種で広がりやすい性質はあるため、増やしたくない場合は花後に花穂を早めに摘み取りましょう。
北海道でも育てられる?
育てられます。北海道などの寒冷地では夏の暑さの影響を受けにくいため、8月~9月頃に種まきをすると、翌春~初夏に開花します。冷涼な気候のため、夏越しして多年草的に育てやすい地域でもあります。
白い花の品種はある?
赤花が主流ですが、白花の品種もあります。育て方は赤花と同じです。種や苗は赤花が中心で流通しているため、白花を入手したい場合は品種名で探すとよいでしょう。
苗はどこで買える?
園芸店やネットショップで購入できます。ホームセンターでの取り扱いは地域や店舗により差があります。ネット通販では実物を確認しづらいため、信頼できるショップを選ぶと安心です。
まとめ:ストロベリーキャンドルの育て方のポイント
ストロベリーキャンドルは、春に赤い花を咲かせるクローバーの仲間(マメ科シャジクソウ属)です。育て方は簡単で、種まきから開花まで初心者でも楽しめます。
種まきは地域に合わせて夏~秋に行い、日当たりと風通しのよい場所で育てます。花を咲かせるにはある程度の寒さが必要なため、秋まきが基本です。水やりは乾かし気味に、肥料は控えめにするのがコツです。
暑さに弱いため夏越しは難しめですが、涼しい場所に移し、水やりを控えめにすることで夏越しできる場合もあります。難しい場合は、花後に種を採って秋にまき直せば、毎年楽しめます。マメ科なので緑肥としても利用でき、花後の株は土にすき込んで活用できます。
切り花やドライフラワーとしても楽しめるストロベリーキャンドル。ぜひ一度、育ててみてください。