ロシアンセージは、夏から秋にかけてラベンダー色の花穂を咲かせる、シソ科の宿根草(多年草)です。シルバーグリーンの葉と青紫の花が涼やかで、ナチュラルガーデンの定番として人気があります。
茎葉には独特の芳香があり、観賞用のほか、ドライフラワーやリースなどにも利用できます。
放任すると旺盛に広がるため「庭に植えてはいけない」と言われることもありますが、性質を理解して管理すれば、手に負えなくなることはありません。
この記事では、ロシアンセージの育て方や挿し木での増やし方、増えすぎ・木質化・倒れといったトラブルの防ぎ方を中心に解説します。
ロシアンセージとは|基本情報
ロシアンセージは、シソ科アキギリ属(サルビア属)の宿根草で、株の基部が木質化する亜低木でもあります。夏から秋に、青紫色の小花を円錐状の花序にたくさん咲かせます。
名前に「セージ」とつきますが、料理に使うコモンセージ(食用セージ)とは性質や用途が異なる、主に観賞用の植物です。草姿や葉の芳香がセージを思わせることから名付けられたと考えられます。また「ロシアン」とつくものの、実際はロシアには分布せず、西アジア~中央アジアが原産です(属名が、ロシアの人物にちなむことに由来すると言われます)。
| 分類 | シソ科アキギリ属(サルビア属) |
|---|---|
| 学名 | Salvia yangii(旧学名:Perovskia atriplicifolia) |
| 別名 | ペロフスキア、サマーラベンダー |
| 原産地 | 西アジア~中央アジア(草原・丘陵地帯) |
| 性質 | 多年草(宿根草/基部が木質化する亜低木) |
| 草丈 | 約40~150cm(品種による) |
| 開花期 | 真夏~10月下旬ごろ |
| 花色 | 青~青紫 |
| 耐寒性/耐暑性 | 耐寒性は非常に強い(-20℃程度)/高温多湿は苦手 |
| 用途 | 観賞、ドライフラワー・リース・ポプリなどの芳香用途 |
なお、ロシアンセージは2017年にペロフスキア属からアキギリ属へ再分類され、学名がPerovskia atriplicifoliaからSalvia yangiiに変更されました。図鑑によって新旧どちらの学名で記載されているかが異なります。
ロシアンセージ栽培に適した環境づくり
ロシアンセージは、日当たりがよく乾燥した痩せ地や、砂利混じりの土地、風通しのよい高台などを好みます。
暑さ・寒さの両方に強い一方、多湿には弱いので、何より水はけのよさが大切です。
用土づくり
赤玉土やバーミキュライトなどを混ぜて水はけをよくします。鉢植えなら、市販のハーブ用培養土や山野草向けの用土、サボテン用培養土などが向いています。
水・肥料の与え方
乾燥に強いので、土が乾いてからたっぷり与えます。庭植えではほとんど水やり不要で、鉢植えは表土が乾いたら鉢底から流れ出るくらい与えます。
肥えた土なら無肥料でも育ちます。生育が思わしくないときは、春と秋、または切り戻し後に緩効性肥料を与えます。鉢植えなら、3~5月と9月下旬~10月に置き肥を月1回ほど施し、様子を見て液体肥料を補います。
種まきの時期と方法
種まきの適期は、3~4月と9~10月です。
ただし発芽率が低く時間もかかるため、苗を購入するか挿し木で増やすほうが手軽です。
- 育苗ポットに水はけのよい土(バーミキュライトや赤玉土など)を入れる
- 種を3~4粒、重ならないようにまく
- 薄く土をかぶせる
- 霧吹きで水を与えて湿らせる
- ビニール袋などで覆って保温・保湿する
- 直射日光を避け、明るく暖かい場所に置く
- 乾かさないように管理する
- 1~2週間で発芽したらビニールを外し、日当たりのよい場所へ
- 本葉が2~3枚出たら間引いて1本にする
- 根が鉢底から出たら大きめの鉢に植え替える
地植え(植え付け)の時期と方法
地植えの適期は、真夏・真冬を避けた春か秋の暖かい日です。日当たりと風通しのよい場所を好み、土質は選びませんが、水はけのよさが大切です。
- 水はけのよい土壌に整える
- 苗を鉢から取り出して根をほぐす
- 根が長すぎる場合は適度に切り詰める
- 根元が地面と同じ高さになるよう穴を掘る
- 苗を入れて根元を固定する
- たっぷり水を与える
- その後は土が乾いたら水やりをする
草丈が高くなるので、他の植物とは十分間隔をあけて植え付けます。背が高くなってきたら支柱で倒れ対策をしましょう。
鉢植え・プランターで育てる方法
ロシアンセージは鉢植え・プランターでも育てられます。留意点をまとめました。
| 留意点 | ポイント |
| 鉢・プランター選び | 大きく育つので、1株につき直径20cm以上の鉢を選び、根詰まりを防ぎます。 |
| 用土 | 市販のハーブ用の土や、赤玉土と腐葉土を半々に混ぜた水はけのよいものを使います。 |
| 水やり | 土の表面が乾いたらたっぷりと。鉢底から水が出るくらい与えます。夏は乾きやすいので注意します。 |
| 肥料 | 春と秋に緩効性肥料を。液体肥料なら生育期に月1回程度。 |
| 剪定・切り戻し | 花が終わったら株元から数節残して切り戻します。 |
| 植え替え | 1~2年に1度、春か秋に行います。 |
苗から育てると手軽です。ロシアンセージの苗はこちらから入手できます。
植え替えの時期と方法
鉢植えは根詰まりを防ぐため、1~2年に1度、春か秋に植え替えます。庭植えは植えっぱなしで構いませんが、場所を変えたい場合は5~6月ごろが適しています。
- 植え替え前に、鉢底から水が出るくらいたっぷり水やりをする
- 1~2回り大きい鉢を用意する
- 新しい用土を入れる
- 根を傷めないよう株を抜き取る
- 絡んだ根は優しくほぐす
- 元の高さになるよう調整して植え付ける
- 周囲の土を固める
- 鉢底から水が出るくらいたっぷり水やりをする
ロシアンセージの花が咲く時期と香り・花言葉
ロシアンセージは真夏から10月下旬ごろまで、青から青紫の花を、枝分かれした円錐花序に咲かせます。葉や茎はこすると、ラベンダーを思わせるさわやかな芳香があります。
花言葉は「家族の愛」「家族の徳」など。根元からたくさん枝分かれして咲く姿が大家族を思わせることに由来するとされます。また「尊敬」「知恵」という花言葉もあり、これは英語で賢人を意味する「sage」と同じ綴りであることにちなみます。
室内での育て方
日当たりと風通しを好みますが、室内でも育てられます。次の点に注意しましょう。
| 補足 | |
| 日光 | 1日6時間以上の直射日光が理想です。南向きの窓辺などに置きましょう。光不足だと花付きが悪くなり、茎が間延びします。 |
| 水やり | 乾燥に強い植物ですが、室内は乾きやすいので、表土が乾いたら鉢底から水が出るまで与えます。冬は控えめに。 |
| 温度 | 耐寒性は強い一方、室内で暖房が効きすぎると弱ります。冬は10℃前後の涼しい場所が向きます。夏は風通しを確保しましょう。 |
| 肥料 | 多くは要りませんが、室内では不足しがちなので、春と秋に緩効性肥料を少量。切り戻し後に与えるのも効果的です。 |
| 剪定・切り戻し | 初夏に摘心して脇芽を増やしたり、花後に株元から数節残して切り戻したりすると、草丈を抑えつつ花数を増やせます。 |
剪定・切り戻しの方法と目的・時期
ロシアンセージは1mを超えることもある大型の植物で、美しい姿を保つには剪定・切り戻しが欠かせません。
開花期間が長く、咲きながら大きくなるので、好みのタイミングで整えます。細い枝や込み合った枝を切り、必要なら太い枝も切って構いません。晩秋~冬に強めに切り戻しておくと、翌年の草姿と生育が整います。
夏越しは蒸れに注意する
耐寒性は強いものの、夏の高温多湿は苦手です。夏越しのポイントは次のとおりです。
| 対策 | ポイント |
| 水やり | 過湿を嫌うので控えめに。庭植えはほぼ降雨のみで十分です。鉢植えは乾いたらたっぷり与えますが、水切れには注意します。 |
| 風通し | 蒸れを嫌うので、込み合った枝は適宜剪定します。西日が強く当たる場所は避けましょう。 |
耐寒性と冬越しの方法
ロシアンセージは耐寒性が非常に強く、-20℃程度まで耐えられるため、特別な防寒はほぼ不要です。ただし次の点に注意しましょう。
| 対策 | ポイント |
| 枝の刈り込み | 冬は落葉して地上部が枯れたように見えますが、春に芽吹きます。冬前~早春に3節ほど残して地際で刈り込むと、翌年の生育と草姿が整います。 |
| 水やり | 冬は乾燥しがちなので、土が乾いたら適度に。過湿を嫌うので控えめにします。庭植えはほぼ降雨のみで十分です。 |
| 防寒 | 寒冷地の鉢植えは、鉢を新聞紙やビニールで巻くなどして鉢内の冷えを防ぎます。風当たりの強い場所は避けましょう。 |
ロシアンセージが大きくならない時に考えられる原因
ロシアンセージの草丈は40~150cm程度で、品種差があります。
例)品種と大きさの目安
- リトルスパイアー:60cm程度
- ブルージーンズ:40cm程度
品種差のほか、環境面で大きくならない原因としては次が考えられます。
| 理由 | 補足 |
| 日当たりが悪い | 日なたを好みます。日陰では生育が鈍るので、明るい場所へ移しましょう。 |
| 水が不足している | 乾燥に強いとはいえ、極端な乾燥は根を傷めます。乾いたらたっぷり与えましょう。 |
| 肥料が不足している | 痩せ地でも育ちますが、生育不良なら春・秋や切り戻し後に緩効性肥料を。 |
| 剪定不足 | 花後に数節残して切り戻すと枝数・花数が増えます。冬前の刈り込みも草姿を整えます。 |
ロシアンセージは植えてはいけないと言われる理由
丈夫で美しい植物ですが、「植えてはいけない」と言われることがあります。主な理由は次のとおりです。
| 考えられる理由 | 補足 |
| 大きくなりすぎる | 基本種は150cm程度になり、花壇や鉢で場所をとったり倒れやすくなったりします。小型品種でも40cm程度は必要です。 |
| 根・地下茎で広がる | 根がよく張り、地下茎で横に広がるため、地植えでは周囲の植物を圧迫することがあります。鉢植えでは根詰まりしやすく、1~2年に1度の植え替えが必要です。 |
| 香りの好みが分かれる | 葉や花の香りは独特で、好みが分かれます。香りに敏感な方は、念のため植え場所に配慮するとよいでしょう。 |
育てる場所や品種を環境に合わせて選び、適切に管理すれば、これらは十分コントロールできます。
ロシアンセージが増えすぎるのを防ぐ方法
ロシアンセージは、根・地下茎で横に広がるうえ、こぼれ種からも増えるため、いつの間にか庭の広い範囲に勢力を伸ばしていることも珍しくありません。挿し木でも容易につくので、剪定で落とした枝から増えることもあります。
増えすぎてから抜こうとしても、根張りが強くて掘り取りが大変です。広がりを抑えるには、次の対策が有効です。
- 植木鉢ごと地中に埋める、根止めシートやレンガで囲うなどして、根・地下茎の動きを物理的に制限する
- 毎年強めに剪定する(地際から2節ほど残す強剪定でも問題ありません)
木質化も早いので、放置しすぎないように管理しておきたいですね。
ロシアンセージが倒れる理由と対策
背丈が高くなったり、風雨に当たったりすると倒れることがあります。主な理由と対策は次のとおりです。
| 理由 | 補足 |
| 肥料が多すぎる | 痩せ地向きの植物なので、肥料が多いと茎が間延びして自重に耐えられなくなります。 |
| 風通しが悪い | 風通しが悪いと茎が弱くなり、病害虫も出やすくなります。周囲を間引くか、風通しのよい場所へ。 |
| 株が密集している | 大株になりすぎると倒れやすくなります。春か秋に株分けして密度を下げましょう。 |
支柱を立てて支えるのも有効です。
ロシアンセージの増やし方
ロシアンセージは、次の3つの方法で増やせます。
- 挿し木
- 株分け
- こぼれ種
地下茎でも増えますが、コントロールが難しいため、ここでは上記3つを解説します。
挿し木で増やす方法と時期
挿し木の適期は、生育適温の20~25℃になる5月ごろか10月ごろです。
- 若く元気な枝を切り取り、1時間ほど水あげする
- 土に埋まる部分の葉を取り除く
- 挿し木用土をあらかじめ十分湿らせておく
- 挿し穂の切り口を斜めにして吸水面を広げる
- 切り口に発根促進剤をつける
- 細い棒で穴を開け、挿し穂を挿す
- 隙間ができないよう土を寄せる
- 日陰で乾かさないように管理する
2週間~1か月ほどで発根したら、日なたに移します。
株分けで増やす方法と時期
株分けの適期も5月ごろか10月ごろです。一度に得られる株数は少なめですが、成功率が高く、大株や老化した株の更新にも役立ちます。
- 親株を掘り上げる
- 根を洗い、絡んだ部分をほぐす
- ハサミやナイフで根と茎を切り分ける
- 元の場所や新しい場所に植え付ける
- 植え付け後はたっぷり水やりをする
こぼれ種でも増える
開花後に落ちた種が、そのまま発芽することがあります。放置でも広がりますが、株元が混み合うと病気が出やすくなります。
苗が大きくなりすぎないうちに掘り上げて別の場所に植え替えると、好みの場所に増やせて、混み合いによる病気も防げます。
葉や花の活用方法(食用には向きません)
ロシアンセージの葉や花にはさわやかな芳香があり、ドライフラワーやリース、ポプリ、虫除けなどに活用できます。
ただし、名前に「セージ」とつくものの、料理用のコモンセージとは別物で、食用には向きません。観賞・芳香を楽しむ植物として扱いましょう。流通している苗は観賞用で、口にすることは想定されていません。ペットが植物をかじる癖がある場合は、念のため口にしない場所で育てると安心です。
芳香を楽しむための収穫は、香りの高まる7月~10月ごろが適期です。枝ごと剪定ばさみで切り取り、すぐに水に浸けるかビニール袋で包んで乾燥を防ぎます。乾燥させる場合は、束ねて風通しのよい日陰に逆さに吊るし、しっかり乾いたら密閉容器で保管します。
ロシアンセージの使い方については、こちらのページで詳しく紹介しています。
まとめ:ロシアンセージの育て方のポイント
ロシアンセージは、耐寒性・耐暑性ともに強く育てやすい宿根草です。日当たりと水はけのよい場所に植えれば、夏から秋に青紫の小花をたくさん咲かせます。
鉢植えでは鉢底に砂利や軽石を敷いて水はけを高め、やや乾燥気味に育てるのがコツです。挿し木で簡単に増やせる一方、根・地下茎やこぼれ種で旺盛に広がるので、強めの剪定や根止めで大きさをコントロールしましょう。
芳香性があり、ドライフラワーやリースにも活用できる魅力的な植物です。性質を理解して、青紫の花穂が風に揺れる景色をぜひ楽しんでくださいね。