キンセンカ(金盞花)は、キク科キンセンカ属(カレンデュラ属)の一年草で、地中海沿岸が原産です。
「カレンデュラ」「ポットマリーゴールド」とも呼ばれ、黄金色の盃のような花を冬から春にかけて長く咲かせます。日が当たると花を開き、夕方や曇りの日には閉じる性質があります。
栽培は難しくなく、ヨーロッパでは食用やハーブとしても親しまれてきたことから、自宅で育ててみたいという方も多い植物です。
この記事では、キンセンカの育て方を、種まきから育苗・植え付け・日々の管理・開花・種取りまで、栽培の流れに沿って紹介します。よく尋ねられる種の取り方や耐寒性についても詳しくお伝えします。
キンセンカ(カレンデュラ)とは|基本情報
育て方に入る前に、まずはキンセンカがどんな植物なのかを押さえておきましょう。性質を知っておくと、種まきや管理のポイントが分かりやすくなります。
ここでは分類・原産と、栽培上で特に重要な性質を紹介します。
分類・原産・名前の由来
キンセンカは、キク科キンセンカ属(カレンデュラ属)の植物で、原産は地中海沿岸です。属名のカレンデュラは「カレンダー」と同じ語源のラテン語に由来し、花期が長いことにちなむとされます。
日本で最もよく栽培されるのは、トウキンセンカとも呼ばれるカレンデュラ・オフィシナリス(Calendula officinalis)です。園芸上は秋まきの一年草として扱われ、冬から春に咲き、夏には枯れます。
栽培で押さえたい2つの性質
キンセンカを育てるうえで、特に大切な性質が2つあります。
1つは、種が光を嫌う「嫌光性種子(暗発芽種子)」であること。もう1つは、根がまっすぐ深く伸びる「直根性」で、移植を嫌うことです。この2点を踏まえると、種まきと植え付けで失敗しにくくなります。
種まきの時期と方法
キンセンカは種からよく育ち、発芽もそろいやすい植物です。ただし嫌光性種子なので、まき方にコツがあります。
ここでは種まきの適期と、正しい手順を紹介します。
種まきの適期
種まきの適期は、9〜10月ごろの秋です。発芽適温はおよそ15〜20℃で、5〜10日ほどで発芽します。
寒冷地では冬の寒さに苗が耐えにくいため、春まきにします。地域の気候に合わせて時期を調整しましょう。
嫌光性種子の正しいまき方
キンセンカは光を嫌う嫌光性種子なので、種が光を受けると発芽しにくくなります。種をまいたら、5mmほどしっかり覆土するのがポイントです。「浅くまく」のは逆効果になります。
また直根性で移植を嫌うため、育苗ポットに直まきして根をいじらずに育てるのがおすすめです。手順は次のとおりです。
- 育苗ポットに種まき用土を入れ、表面を平らにする。
- 1ポットにつき2〜3粒まく。
- 種が隠れるよう5mmほど覆土し、軽く押さえる。
- 水やりをして土を湿らせる。
- 発芽までは土を乾かさないよう管理する。
- 発芽したら日当たりのよい場所に移し、よい芽を残して間引く。
育苗箱や花壇・鉢に直まきして、間引きながら育てることもできます。
苗の植え付け(地植え・プランター)
苗が育ったら、花壇やプランターに植え付けます。ここで重要なのが、直根性の性質に配慮することです。
ここでは植え付けの適期と、地植え・プランターそれぞれの方法を紹介します。
植え付けの適期と直根性への配慮
植え付けの適期は秋(9〜11月)で、寒冷地では春に行います。本葉が4〜5枚ほどになったら定植します。
キンセンカは直根性で根をいじられるのを嫌うため、根鉢を崩さずにそっと植え付けるのがコツです。根を傷めると生育が止まりやすいので注意します。
地植えとプランターの植え付け
地植えでは、日当たりと風通しのよい場所を選び、株間20cmほどを空けて植え付けます。横にも枝を広げるため、株間は十分にとります。
プランターでは、65cm程度の容器に4〜6株が目安です。市販の草花用培養土を使い、酸性土壌を嫌うので植え付け前に苦土石灰を混ぜて酸度を調整しておきます。植え付け後はたっぷり水やりをします。
キンセンカ栽培の環境づくりと日常管理
植え付けたあとは、日当たり・水やり・肥料の3つを押さえれば、丈夫に育ちます。
ここでは置き場所と水やり、肥料のポイントを紹介します。
置き場所と水やり
キンセンカは日当たりと風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると花つきが悪くなり、茎が間延びして倒れやすくなります。
水やりは、土の表面が乾いたらたっぷり与えます。乾燥には比較的強い一方、過湿に弱く根腐れしやすいので、地植えで根づいた後はほとんど水やりは不要です。鉢植えは株元から与え、蒸れを防ぎます。
肥料の与え方
肥料は、植え付け前に緩効性肥料を元肥として土に混ぜ込んでおきます。窒素分が多すぎると葉ばかり茂って花つきが悪くなるため、控えめにします。
鉢植えでは、生育期に液体肥料を10日に1回ほど与えると花が長く楽しめます。花壇では元肥で足りますが、花が咲き始めたら追肥をするとよいでしょう。
花がら摘み・摘心・切り戻し
キンセンカを長くきれいに咲かせるには、花がら摘みや摘心といった手入れが役立ちます。
ここでは花がら摘みと、摘心・切り戻しのやり方を紹介します。
花がら摘みのやり方
花がら摘みは、咲き終わった花を取り除く作業です。新しい花の発生を促し、病気の予防や見ばえの維持にもつながります。
タイミングは、花が色あせたり花びらが丸まったりしたときです。花茎の根元からはさみで切り取ります。種を採る目的の花以外は、終わった順に切り取ると見ばえよく保てます。
摘心と切り戻し
摘心をすると脇芽が伸びて花数が増えます。花数を増やしたい場合は、蕾がつく前に茎の先端を摘み取ります。
茎葉が混み合うとうどんこ病にかかりやすくなるため、込み合った部分は間引きます。また、春に草丈の3分の1〜半分ほど切り戻すと、脇枝が増えて花芽が多くつきます。
キンセンカの切り花の楽しみ方
キンセンカは切り花としても人気があり、室内を明るく彩ります。少しのコツで長持ちさせられます。
ここでは切り取り方と、長持ちさせる管理を紹介します。
切り取りのタイミング
切り花にするときは、花が開いた状態のものを切り取ります。花が閉じているときや花びらが縮れているものは避けます。
茎の先端を斜めに切り落とし、水に浸かる部分の葉やつぼみは取り除いておくと水あがりがよくなります。
長持ちさせる管理
花瓶の水は茎の半分くらいまで入れ、毎日取り替えます。そのつど茎の先を少し切り戻すと、吸水がよくなり新鮮さを保てます。
花がらはこまめに摘み、花びらが散ったらガクごと切り取ります。直射日光の当たらない涼しい場所に置くと、1週間ほど楽しめます。
夏越し・耐寒性と冬の管理
キンセンカは寒さに強い一方、暑さには弱い植物です。季節ごとの性質を知っておくと管理しやすくなります。
ここでは夏越しの可否と、冬の管理を紹介します。
夏越しはできない
キンセンカは冬から春に咲く一年草で、夏の暑さと強い日差しに弱く、花つきも悪くなります。基本的に夏越しはできません。
花が終わって株が弱ってきたら抜き取り、翌シーズンは秋にあらためて種まきや苗の植え付けをします。
耐寒性と冬越し
キンセンカは耐寒性が高く、関東以南では地植えでも特別な冬越しは不要です。ただし強い霜や雪には注意し、雪の前に軽く切り戻しておくと倒伏を防げます。
鉢植えは日当たりと風通しのよい場所に置きます。鉢土が凍りやすい地域では、鉢を寄せて並べると保温になります。冬の水やりは控えめにします。
種取りとこぼれ種
キンセンカは種が採りやすく、自分で採種して翌年にまくことができます。こぼれ種から自然に増えることもあります。
ここでは種の見分け方・採り方と、こぼれ種について紹介します。
種の見分け方と採取時期
キンセンカは花がしぼんで茶色くなったあとに種をつけます。花の中心部にできる、湾曲した細長い形のものが種です。
採取のタイミングは、花がしぼんで茶色く乾き、ゆすると落ちるころです。茶色く熟していない種や緑色の種は発芽率が低いので除きます。採種は3〜5月ごろが目安です。
種の保存とこぼれ種
採った種は新聞紙などに広げてよく乾かし、乾燥剤とともに密閉容器に入れて冷蔵庫など冷暗所で保存します。保存の目安は2〜3年です。
キンセンカはこぼれ種からも増えますが、発芽がそろわないこともあります。確実に増やしたい場合は、種を採取してまくのがおすすめです。なお、挿し木や挿し芽では増やせないため、ふやし方は種まきが基本です。
キンセンカの主な品種
キンセンカは育種が盛んで、草丈や花色、花形の異なる多くの品種があります。育てる場所や用途に合わせて選べます。
ここでは代表的な品種と、名前の似た「別の植物」について紹介します。
代表的な品種
よく流通する品種には、次のようなものがあります。
「冬知らず」は、ホンキンセンカ(カレンデュラ・アルベンシス)の系統で、花径2cmほどの小輪を一株にたくさん咲かせます。寒さに強く、積雪のない地域では冬から春まで長く咲き続けるため、冬花壇の定番です。
「スノープリンセス」は、キンセンカでは珍しい白系の花色をもつ品種で、草丈30〜50cmほど。切り花にも向きます。このほか、大輪系や黒芯系の切り花向き品種など、目的に合わせて多彩な品種が選べます。
「アフリカキンセンカ」は別の植物
名前のよく似た「アフリカキンセンカ」は、キンセンカ(カレンデュラ)とは別属の植物で、オステオスペルマムやディモルフォセカと呼ばれる仲間です。
花姿は似ていますが分類も性質も異なるため、育て方も同じとは限りません。購入の際は、カレンデュラ(キンセンカ)なのか、アフリカキンセンカなのかを確認するとよいでしょう。
キンセンカの食用・ハーブ利用について
キンセンカは、ヨーロッパで古くから食用やハーブとして親しまれてきた歴史があります。エディブルフラワーとして料理の彩りに使われることもあります。
ここでは利用の歴史と、食用にする際の注意点を紹介します。
古くからの利用の歴史
キンセンカの花は、ヨーロッパで食用や染料として利用されてきました。花びらを乾燥させたものは、料理の色づけなどに用いられることもあります。
カレンデュラのハーブティーとしての楽しみ方は、カレンデュラのハーブティーの作り方のページで紹介しています。
食用にするときの注意
食用にする場合は、必ず食用として販売されている苗や花を使います。一般に園芸用として流通している苗は、観賞用の薬剤が使われていることがあり、食用には向きません。
食用やハーブとして利用したい場合は、ハーブショップなどで食用にできる品種かどうかを確認してから入手しましょう。
キンセンカの育て方に関するQ&A
最後に、キンセンカの育て方でよく寄せられる質問にお答えします。
- キンセンカは多年草ですか?
- 花はいつまで咲く?
キンセンカは多年草ですか?
園芸上は一年草として扱います。主に栽培されるカレンデュラ・オフィシナリスは、秋に種をまくと冬から春に咲き、夏には枯れます。
「冬知らず」のように寒さに強く長く咲く品種もありますが、これらも夏の暑さに弱く、園芸上は一年草として扱うのが一般的です。こぼれ種で翌年も咲くことはあります。
花はいつまで咲く?
秋に種をまくと12月ごろから咲き始め、最盛期は3〜5月です。花は日が当たると開き、夜間や曇天では閉じます。
関東以南では冬越しして春まで咲きますが、夏の暑さに弱いため、一般には5月ごろまでが目安です。6月以降は株が弱るので、秋に種まきや植え付けをし直します。
まとめ:キンセンカ(カレンデュラ)の育て方のポイント
この記事では、キンセンカの育て方を種まきから種取りまで紹介しました。ポイントは次のとおりです。
- キンセンカはキク科の一年草で、日当たりと風通しのよい場所を好む。
- 種は嫌光性なので、まいたら5mmほどしっかり覆土する。
- 直根性で移植を嫌うため、ポットに直まきし、根鉢を崩さず植え付ける。
- 種まきは秋(9〜10月)が適期。寒冷地では春まき。
- 過湿に弱いので水のやりすぎに注意し、花がらはこまめに摘む。
- 夏越しはできない。種を採って秋にまき直す。
- 食用にする場合は、食用として販売された苗・花を使う。
丈夫で育てやすく、初心者でも気軽に挑戦できる花です。冬から春の花壇やベランダを、鮮やかな花で彩ってみてください。