バタフライピーは、蝶が羽を広げたような鮮やかな青い花を咲かせる、マメ科のつる性ハーブです。チョウマメ(蝶豆)やクリトリアとも呼ばれ、その花を煎じると澄んだ青色のお茶になることで知られています。
暑さに非常に強く、夏の間つるをぐんぐん伸ばして次々と花を咲かせるため、観賞用としてはもちろん、夏の日よけになるグリーンカーテンとしても人気があります。花はハーブティーやお菓子の色づけに、若いさやは食用にと、さまざまに楽しめるのも魅力です。
この記事では、バタフライピーの種まきから日々の管理、誘引、収穫、冬越しまでをわかりやすく解説します。家庭で青い花を育ててみたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
バタフライピーの基本情報と特徴
育て方の前に、まずはバタフライピーの基本情報を押さえておきましょう。性質を知っておくと、栽培のポイントが理解しやすくなります。
| 科名・属名 | マメ科クリトリア属(チョウマメ属) |
| 学名 | Clitoria ternatea |
| 和名 | チョウマメ(蝶豆) |
| 分類 | つる性多年草(日本では一年草扱い) |
| 原産地 | 東南アジア・インドなど熱帯地域 |
| 発芽適温 | 20℃以上 |
| 種まき時期 | 5月以降 |
| 開花期 | 6月〜9月ごろ |
バタフライピーはマメ科のつる性植物で、原産地では多年草ですが、冬の寒さに弱いため日本では一般に一年草として扱われます。暑さには非常に強く、真夏でも元気に生育するのが大きな特徴です。
花に含まれる青い色素はアントシアニンによるもので、煎じると鮮やかな青色のお茶になります。レモンなどの酸性のものを加えると青からピンク〜紫へ色が変化するため、お茶やお菓子の色づけに利用されています。花のほか、若いさやも食用にできます。
バタフライピーの種まき
バタフライピーは移植を嫌う性質があるため、種から育てるのが基本です。苗の流通は少なめなので、種まきの方法をしっかり押さえておきましょう。
種まきの時期
種まきの適期は、気温が十分に高くなる5月以降です。発芽適温は20℃以上と高いため、ゴールデンウィークごろから初夏にかけてが種まきのタイミングになります。それより早くまくと、気温が低くて発芽率が下がってしまいます。
もし育てたいと思った時期が初夏を過ぎていた場合は、無理にその年にまかず、翌春まで種を保管しておくか、苗が手に入れば苗から始めるのも一つの方法です。
発芽率を高める種の下処理
バタフライピーの種は硬い殻に覆われているため、そのままだと発芽しにくいことがあります。発芽率を高めるには、まき方に少し下処理を加えるのがコツです。
まず、種の表面をやすりやナイフで軽く傷つけるか、コンクリートなどにこすりつけて殻に傷を入れます。その後、一晩水に浸けて殻をふやかしておくと、水を吸って発芽しやすくなります。この「傷つける+一晩浸水」のひと手間で、発芽の成功率が大きく変わります。
種まきの方法
バタフライピーは移植を嫌うため、育てたい場所に直接まく「直まき」、または植え替え時に根を傷めないようポットにまくのがおすすめです。
下処理した種を、深さ1cmほどの位置にまき、軽く土をかぶせます。日当たりと風通しの良い場所に置き、発芽するまでは乾燥しないように水やりを続けましょう。発芽までの目安は1週間〜10日ほどです。複数まいた場合は、発芽後に株間が30cmほどになるよう間引きます。
バタフライピー栽培に適した環境と用土
バタフライピーを上手に育てるには、日当たりと土が重要です。置き場所と用土の準備のポイントを見ていきましょう。
日当たり・置き場所
バタフライピーは日当たりと風通しの良い場所を好みます。日照が不足するとつるは伸びても花がつきにくくなるため、よく日の当たる場所を選びましょう。暑さや直射日光には強いので、真夏でも基本的に遮光の必要はありません。
鉢植え・地植えのどちらでも育てられますが、地植えのほうがよく伸びて大きく育ちます。寒さに弱いので、植え付けや種まきは気温が安定して暖かくなる5月以降に行います。
用土の選び方
バタフライピーは、水はけと水もちのバランスが良い土を好みます。マメ科の植物なので、弱酸性〜中性の土が適しています。
鉢植えの場合は、花・野菜用の培養土が手軽です。自分で配合する場合は、赤玉土6・腐葉土4の割合に化成肥料を少量混ぜたものが向いています。地植えの場合は、土が酸性に傾いているようなら苦土石灰を入れて中和し、腐葉土か堆肥を2〜3割混ぜ込んでおきましょう。根が深く張るので、植え付け前に30cmほどの深さまでよく耕しておくと健やかに育ちます。
バタフライピーの日常管理(水やり・肥料)
種まきや植え付けが終わったら、日々の水やりと肥料の管理に移ります。マメ科ならではの肥料のポイントも押さえておきましょう。
水やり
地植えの場合、根づいた後は基本的に水やりの必要はありません。葉がしおれるほど乾燥が続くときだけ、たっぷりと与えます。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
注意したいのが夏場です。バタフライピーは暑さに強く生育が旺盛なぶん、特に鉢植えでは水切れを起こしやすくなります。真夏は朝と夕方の1日2回など、こまめな水やりを心がけましょう。
肥料の与え方
バタフライピーはマメ科の植物で、根に共生する根粒菌の働きにより空気中の窒素を取り込めるため、肥料はほとんど必要としません。
地植えの場合は、ほかの草花が問題なく育つ土であれば、特に肥料は不要です。鉢植えの場合は、植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておけば十分で、追肥は生育や開花の様子を見ながら、植え付け後1か月以上たってから少量与える程度にします。なお、窒素分の多い肥料を与えすぎると、葉ばかり茂って花つきが悪くなったり、虫がつきやすくなったりするので注意しましょう。
つるの誘引と支柱・グリーンカーテンの作り方
バタフライピーはつる性で自立できないため、支柱やネットへの誘引が欠かせません。仕立て方を工夫すれば、グリーンカーテンとしても楽しめます。
支柱を立てて誘引する
鉢植えやコンパクトに育てたい場合は、支柱を立てて誘引します。竹や木製の支柱を株のそばに立て、伸びてきたつるを巻きつけていきます。鉢植えでは、支柱を円形に立ててつるを巻く「行燈仕立て」にすると、コンパクトにまとまります。
つるは生育期にぐんぐん伸びるので、その都度こまめに誘引して形を整えましょう。ある程度絡めておけば、あとは自分で巻きついていきます。
グリーンカーテンにする
バタフライピーは暑さと直射日光に強いため、夏の日よけになるグリーンカーテンに最適です。窓やベランダの外側に、ネットやワイヤーを壁や窓枠にしっかり固定して張り、株の後ろ側に設置します。
伸びたつるをネットに絡ませながら、横にも広がるよう誘引していくと、面状に茂ったカーテンになります。グリーンカーテンにすると、青い花を観賞できるうえ、夏の日差しを和らげ、収穫した花をお茶などに利用できるという一石三鳥の楽しみ方ができます。
摘心・切り戻しで花つきを良くする
バタフライピーをたくさん咲かせ、こんもりと茂らせるには、摘心と切り戻しが効果的です。タイミングと方法を押さえておきましょう。
つるが20cm前後に伸びてきたら、茎の先端を摘む「摘心(ピンチ)」を行います。先端を摘むと、その下からわき芽が伸びて茎数が増え、花のつく枝が多くなります。これを何度か繰り返すことで、ボリュームのある株に育ち、収穫量も増えます。
また、つるが伸びすぎて姿が乱れたときは、伸ばしたい芽の少し上で切り戻します。咲き終わった花はこまめに摘み取ると、種づくりに栄養が回るのを防ぎ、次の花が咲きやすくなります。
バタフライピーの花が咲かない原因と対策
夏の間たくさんの花を咲かせるバタフライピーですが、ときに花がつかないことがあります。主な原因と対策を確認しておきましょう。
| 原因 | 対策 |
| 日当たり不足 | 日陰ではつるは伸びても花芽がつきにくい。日当たりの良い場所へ。 |
| 水切れ | 土が乾きすぎると花芽が落ちる。特に鉢植えは乾いたらたっぷり水やりを。 |
| 摘心していない | つるが20cm前後になったら摘心し、枝数を増やす。 |
| 肥料(窒素)の与えすぎ | 窒素過多は葉ばかり茂る原因。マメ科なので肥料は控えめに。 |
花が咲かないときは、複数の原因が重なっていることもあります。まずは日当たりと水やり、摘心の3点を見直してみましょう。
バタフライピーの収穫と利用
バタフライピーは、花と若いさやを収穫して楽しめます。それぞれの収穫時期と方法を見ていきましょう。
花の収穫時期は6〜9月の長い期間です。一つひとつの花は一日でしぼむ「一日花」なので、その日に咲いている花を順次摘み取ります。摘んだ花はフレッシュでも使えますが、使いきれない場合は天日でしっかり乾燥させると長期保存でき、青いハーブティーやお菓子の色づけに利用できます。
若いさやは、7〜9月ごろ、花が終わった後にできる緑色のさやを、茶色く熟す前の若いうちに収穫します。さやは加熱して食べられます(生で食べる場合は中の種を除きます)。なお、種を採りたい場合は、さやを収穫せずに残し、茶色く完熟してから採取します。
利用にあたっての注意点として、バタフライピーのお茶は、妊娠中・授乳中の方や、生理中で経血量が気になる方は摂取を控えるのが望ましいとされています。お茶として飲用する際は、こうした点にも留意してください。「バタフライピーは飲んではいけない」と言われる理由については、こちらのページで詳しくご紹介しています。
バタフライピーの冬越し
バタフライピーは熱帯原産で寒さに弱いため、日本の多くの地域では冬を越せず、一年草として扱われます。気温が10℃を下回るころから弱り始めます。
ただし、暖かい地域や、室内に取り込める鉢植えであれば、冬越しに挑戦することも可能です。鉢植えの場合は、霜が降りる前に室内へ取り込み、暖房の風や直射日光を避けた明るく涼しい場所に置きます。水やりは乾いたら少量ずつにとどめ、肥料は与えません。地植えの場合は、つるを切り戻して株元を厚めにマルチングし、枯れ葉などで覆って保温します。それでも寒さが厳しい地域では越冬は難しいため、毎年種を採って翌春にまき直すのが現実的です。
バタフライピーの育て方に関するQ&A
最後に、バタフライピーの育て方でよくある疑問にお答えします。
苗はホームセンターで買えますか?
バタフライピーは移植を嫌うため種から育てるのが一般的で、苗の流通量は多くありません。ゴールデンウィークごろから、ハーブやグリーンカーテン用の素材コーナーに置かれることがあります。見つからない場合は、種または苗をインターネット通販で探すとよいでしょう。
挿し木で増やせますか?
バタフライピーは、基本的に種で増やします。挿し木は一般的な増やし方ではありません。花後にできるさやが茶色く熟したら種を採取し、翌春にまけば手軽に増やせます。種まきはそれほど難しくないので、増やしたい場合は種採りがおすすめです。
沖縄など暖地での栽培に向いていますか?
バタフライピーは熱帯・亜熱帯の気候に適応した植物なので、沖縄のような温暖で日照の豊富な地域での栽培によく向いています。暖地では冬を越して多年草的に育つこともあります。
まとめ:バタフライピーの育て方のポイント
バタフライピーは、鮮やかな青い花が魅力のマメ科のつる性ハーブです。最後に、育て方の要点をおさらいしましょう。
バタフライピーは暑さに強い一方で寒さに弱く、日本では一年草として育てます。移植を嫌うため種からの直まきが基本で、種は傷をつけて一晩浸水させ、気温が上がる5月以降にまくのが成功のコツです。日当たりの良い場所を選び、マメ科なので肥料は控えめにします。つるが20cm前後になったら摘心し、支柱やネットに誘引すれば、花つきの良い株やグリーンカーテンに育ちます。
花は6〜9月の長期間楽しめ、青いお茶やお菓子の色づけに活用できます。寒さに弱いので、種を採って翌年にまき直すと毎年楽しめます。涼しげな青い花を、ぜひ家庭で育ててみてくださいね。