「センブリ茶は白髪に良いらしい」という話を、どこかで耳にしたことはないでしょうか。
センブリは、ドクダミ、ゲンノショウコとともに日本三大民間薬の一つとされる植物で、強い苦みのあるお茶として古くから胃腸の調子を整える目的で親しまれてきました。さらに、センブリエキスは育毛剤に配合されることもあり、そこから「髪や白髪にも良いのでは」というイメージが広がっているようです。
ただ、結論から言うと、センブリ茶を飲んだからといって白髪が黒髪に戻るという科学的な根拠はありません。白髪と、髪が生える・抜けるといった育毛の話は、実はまったく別の仕組みで起こっているからです。
この記事では、「センブリ茶と白髪の関係」を正しく整理しながら、育毛との違いや、頭皮ケアでセンブリがどう活用されているのかを、できるだけ正確にご紹介します。
センブリ茶は白髪に効果があるの?まず結論から
最初に、多くの方が一番知りたいであろう点をはっきりさせておきます。
センブリ茶を飲むことで、すでにある白髪が黒髪に戻ったり、白髪が確実に減ったりするという科学的な裏付けはありません。
白髪は髪の「色」に関わる問題であり、後ほど詳しく説明するように、髪を黒くする色素を作る細胞の働きが鍵を握っています。一方で、センブリ(センブリエキス)が育毛剤に使われる際に語られるのは、おもに「頭皮の血行」や「頭皮環境」といった、髪が育つ土台の部分です。
つまり、センブリと髪の話で語られてきたことの多くは「育毛」の文脈であって、「白髪を黒くする」という話とは別のものなのです。
とはいえ、頭皮環境を整えるという視点でセンブリが注目されているのは事実です。ここからは、白髪の仕組みと育毛との違いを整理しながら、センブリとの関係を正しく見ていきましょう。
そもそも白髪の原因とは?
センブリとの関係を理解するために、まずは白髪がなぜ起こるのかを知っておくことが近道です。
髪の黒い色は、「メラノサイト(色素細胞)」と呼ばれる細胞が作り出す「メラニン色素」によって生まれます。髪が作られる過程でこのメラニンが髪に取り込まれることで、黒髪になります。
ところが、このメラノサイトの働きが低下したり、数そのものが減ってしまったりすると、メラニンが十分に作られなくなり、色のついていない髪、つまり白髪が生えてくることになります。メラニンを作るときに必要な「チロシナーゼ」という酵素の働きが、加齢や栄養不足などで弱まることも一因とされています。
メラノサイトの働きが低下する主な背景としては、次のような要因があるといわれています。
- 加齢
- 遺伝的な体質
- ストレス
- 食生活の乱れ・栄養不足
- 睡眠不足などの生活習慣
ここで押さえておきたいのは、白髪は「髪の色」を作る細胞の問題だということです。これは、髪が「生える・抜ける」という育毛・薄毛の問題とは、関わる細胞も仕組みも異なります。この違いが、センブリ茶と白髪の関係を考えるうえでとても重要になります。
センブリ茶の「白髪」と「育毛」は分けて考える
「センブリは白髪に良い」というイメージが広まっている背景には、ある混同があります。それは、「育毛」と「白髪(色素の回復)」が同じものとして語られてしまっていることです。
センブリエキスは、頭皮の血行を促す働きなどが注目され、育毛剤の成分として配合されることがあります。そこから「センブリ=髪に良い」という印象が生まれ、いつしか「白髪にも効く」という話につながっていったと考えられます。
しかし、前の章で見たように、両者は次のように異なります。
- 育毛……髪を生み出す「毛母細胞」や、髪が育つ土台となる頭皮環境に関わる話
- 白髪……髪に色をつける「メラノサイト(色素細胞)」とメラニン生成に関わる話
このように、育毛と白髪は作用する細胞も仕組みも別物です。
仮にセンブリによって頭皮の血行が促されるとしても、それは「髪が育ちやすい環境づくり」という育毛寄りの話であり、メラノサイトが再び色素を作り出して白髪が黒くなる、ということを意味するわけではありません。
センブリと白髪について語られるときは、この「育毛」と「白髪」の線引きを意識しておくと、情報に振り回されずに済みます。
センブリ(センブリエキス)が頭皮ケアで注目される理由
白髪そのものへの直接的な効果は期待しにくい一方で、センブリが「頭皮ケア」の分野で注目されているのは確かです。ただし、ここで語られるのは基本的に「エキスを頭皮に塗る(外用)」という使い方であり、お茶を飲む話とは区別して理解する必要があります。
実際、センブリエキスは多くの育毛剤に有効成分として配合されています。その理由として、次のような働きがあるとされているためです。
| 含まれる成分 | 注目されている働き |
| スウェルチアマリン | 頭皮の血行を促すとされ、毛根に栄養が届きやすい環境づくりに役立つといわれる |
| アマロゲンチンなど | 毛乳頭細胞の働きに着目した研究があるとされる |
このほか、センブリエキスには抗炎症作用や抗酸化作用があるとされ、頭皮環境を整えるという観点から育毛剤に用いられています。
ただし、これらはあくまで頭皮に塗るエキスについて語られている内容です。センブリ茶を飲むことで同じ働きが得られる、髪が生える、白髪が治る、といった効果が保証されているわけではありません。また、男性ホルモンが関わるAGA(男性型脱毛症)など、原因によっては期待できないケースもあります。
センブリ茶を飲むことで頭皮・髪に期待されること
では、「飲む」という観点では何も語れないのかというと、間接的な部分では着目されています。
センブリ茶は古くから、胃腸の調子を整える目的で飲まれてきた生薬茶です。胃腸の状態が整うことは、食べたものから栄養を取り込む土台を支えることにつながります。髪も体の一部である以上、栄養状態や全身のコンディションと無関係ではありません。
その意味で、センブリ茶を生活に取り入れることが、巡り巡って髪の健康を支える一助になる可能性はあります。ただし、これはあくまで「土台を整える」という間接的な話です。飲むだけで白髪や薄毛が改善するわけではない点は、改めて押さえておきましょう。
白髪の予防という観点では、特定の食品に頼るよりも、バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動といった生活習慣全体を整えることのほうが大切だとされています。
センブリ茶・センブリエキスを頭皮に使う方法と注意点
頭皮ケアの一環として、センブリを使った頭皮用スプレーを手作りする方法が紹介されることがあります。参考までに2つの方法を挙げますが、注意点も必ず確認してください。
1.アルコールで抽出する方法
センブリの茶葉を細かく刻んで、ホワイトリカーに漬け込みます。(漬け込む量はセンブリ15gに対してアルコール300mlくらいが目安)。1ヶ月ほど置いたら、アルコールを濾して液体を取り出します。アルコールによって成分を抽出しやすいとされる方法です。
2.煮出して抽出する方法
センブリの茶葉を細かく刻んで、水で煮詰めて濃度を上げます。(煮出す量はセンブリ15gに対して水300mlくらいが目安)。水が半分になるくらいまで煮出したら、濾して液体を取り出し、冷ましてからスプレーボトルに入れます。
なお、センブリは第3類医薬品にあたる生薬です。自作したスプレーの効果や安全性が保証されるものではなく、肌に合わない可能性もあります。使用する前には必ずパッチテストを行い、かゆみや赤みなどの異常があらわれた場合はただちに使用を中止してください。
敏感肌の方は特に慎重に、また使用後はよく洗い流すようにしましょう。少しでも不安がある場合は、市販の育毛剤など、安全性が確認された製品を選ぶほうが安心です。
センブリ茶の副作用・飲む量の目安
最後に、センブリ茶を飲む際の基本的な注意点をまとめておきます。
基本的に、センブリには重い副作用はないとされています。ただし、とても苦いお茶であることや、飲みすぎることでお腹が緩くなったり、気分が悪くなったりすることがあるので注意してください。
1日の摂取量の目安については、食品安全委員会のホームページに記載されている量が参考になります。
煎剤として0.3~1.5g、粉末として1日量30~50㎎、常用量は10~20㎎
こうした量を1日3回程度に分けて飲むのが目安とされています。センブリ茶は第3類医薬品として販売されているものも多いため、飲む量や飲み方は、お手元の製品パッケージの用法・用量を必ず確認してください。
まとめ:センブリ茶と白髪の関係を正しく理解しよう
この記事では、センブリ茶と白髪の関係を、育毛との違いをふまえて整理しました。
ポイントを振り返ると、次のとおりです。
- 白髪は「メラノサイト(色素細胞)」の働きの低下が関わる、髪の色の問題
- 育毛は髪が生える・抜けるという別の仕組みの話で、両者は分けて考える必要がある
- センブリ茶を飲んで白髪が黒く戻るという科学的根拠はない
- センブリエキスは頭皮の血行や環境という観点から育毛剤に配合されているが、それは外用の話
- 白髪対策としては、特定の食品より生活習慣全体を整えることが大切とされる
「センブリ茶を飲めば白髪が治る」と過度に期待するのではなく、頭皮や体の土台を整える習慣の一つとして、上手に取り入れていくのがよいでしょう。
なお、センブリ茶がどこで購入できるかについては、こちらのページにまとめています。
